子どもの頃から、まわりと違う感覚でいる自分を大好きだったと話すタレントのpecoさん。今、息子さんとの生活で何より大切にしていることについて、おだやかに話してくださいました。(全4回中の3回)
息子の素直な想いをすべて受け止めたい
── ryuchellさんがいらっしゃらなくなってから、どんなことを大切にされてきましたか?
pecoさん:一番は、息子のことです。常に息子の気持ちを大切にして、息子のryuchellへの想いとか、素直に言葉にしてくれたものをすべて受け止めるようにしています。それが今一番私がすべきことだと思っています。
あと、私自身では、やっぱり悲しいっていう気持ちももちろん悪いことではないし、そのままの気持ちでいていいと思うのですが、「悲しい」というだけにしたくないという想いもあります。ryuchellとのすごく楽しかった話とか、面白かった思い出に蓋をするのではなく、話すことのできる自分でいたいなと思っています。
だから、毎日のように息子とryuchellの話をしています。それは、「いなくなって寂しいね」ということではなく、「こんなことしていたよね」という話をよくしています。そういう自分でありたいな、そういう家族でありたいなってすごく思っています。
母の存在と、友人たちの現実的な助けに救われた
── お子さんを支えるpecoさんにも支えは必要だと思っています。振り返って、支えになってくれていると感じる存在や時間などはありますか?
pecoさん:一番は母の存在です。やらなきゃいけないことっていっぱいあるじゃないですか。そういうことを全部やってくれて、私が息子とちゃんと向き合うことだけに集中できるように、目の前のやるべきことをすべてやってくれました。そんな母の存在に本当に救われたし、今でもめちゃくちゃ助けられています。
── 子どもと向き合う時間が後回しになってしまう場合もあると思います。懐の深いお母さまですね。
pecoさん:ありがとうございます。母だけじゃなくて、ryuchellのことを知った方たちから数えきれないほどのメッセージをいただいて、本当にありがたかったです。
身近な友達や知人たちからもLINEなどにたくさんメッセージが届いたのですが、そのときハッとしたのが、現実的な手助けの申し出がすごく多かったことでした。
ワンちゃんを飼っている方からは、「いつでもアリソン(pecoさんの愛犬)を預かるし、散歩も行けるからね」って言ってもらえたり。すごく現実的な寄り添いをしていただいて、「私のまわりには、こんなにもたくさん、もたれかからせてくれる人がいるんだ」と本当に心強かったし、「私と息子は大丈夫」って思えました。
私は、ryuchellと出会えてから、世界で一番幸せな時間を過ごせていたと今でも思います。あんなふうに楽しく同じ時間を過ごせる相手に出会えたことは奇跡だし、ありがたいことだなって思います。
何より、息子と出会わせてくれたことには、一生をかけても感謝しきれないことだなって思います。
こんなに息子に思われて…ryuchellはほんまに幸せ者
── これからも、息子さんに対してryuchellさんとの話を大切に伝えていきたいという想いはありますか?
pecoさん:すごくあります。息子がryuchellとのことを思い出して、話してくれることってすっごく幸せなことだと思うんです。「ryuchell、あんた、ほんま幸せやで」って言いたいくらい。
悲しい気持ちになって、話をしないようにする方もいるかもしれないけれど、家族でダダ(ryuchell)のことを思い出して、ダダのことで笑っていたいです。「それはきっとダダにとっても一番うれしいことだよ」っていう話を息子にはするのですが、本当にそう思うからこそ、息子のryuchellに対する想いもすべて口に出してくれたことは全部受け止めたいです。
息子が大きくなってからも全部受け止めたいし、息子の大好きなダダ(ryuchell)のことを、私はずっとずっと伝えていきたいと思っています。
何かを一生懸命頑張れるってそれだけで天才
── 毎日頑張っている働く女性やママたちに伝えたいことはありますか?
pecoさん:お仕事をされている方もたくさんいらっしゃると思います。お子さんがいるいない関係なく、ご結婚されているとか未婚とかも関係なく、毎日何かを一生懸命頑張っていることって天才だと思うんです。本当に素晴らしいこと。
だから、そのことを毎日絶対に忘れないでほしいなって思います。私も、1日前の自分とか数時間前の自分とかによく感謝するんです。「昨日の夜の自分、ほんまありがとう!あんたのおかげで、今の私に時間の余裕ができたよ」って。
「私、天才」って日々思っています。みなさんにも、自分のことをたくさんほめてほしいなって思います。
PROFILE pecoさん
タレント・ブランドプロデューサー。大阪府出身。10代から80年代頃のアメリカンカルチャーを取り入れたファッションで注目を集める。SNSのフォロワーは、Instagramは250万人以上、X(旧Twitter)は90万人以上。2月1日には、初めてのエッセイ『My Life』(祥伝社)を発売した。
取材・文/高梨真紀 写真提供/peco