1986年、当時中学3年生で芸能界デビューした立花理佐さん。最近、直腸がんだったことや手術をしてから3年が経ったことなどを発表しました。今回はご自身の闘病生活や退院後のお話についてお聞きしました。(全4回中の4回)

怖がって病院に行かなかったことを後悔

── 直腸がんと診断されたのはいつですか?

 

立花さん:コロナ禍になってすぐの2020年です。私はとにかく病院嫌いで、それまでも健康診断すらまともに受けていませんでした。最初は座るとお尻が痛いと感じて、出血もしていたのですが、たいしたことないだろう…と思って、痛み止めを飲んで様子を見ていました。

 

友人に婦人科の医師がいて、その人にも早く大腸検査をしたほうがいいと言われていたのに、それでも先延ばしにしていて。でも痛み止めも徐々に効かなくなってきて「毎日痛み止めを飲んでいたら胃もおかしくなるよ」と友人の医師に怒られました。

 

それでも病院に行くのが怖かったのですが、その頃にコロナ禍に突入して、みんな外出できなくなったんです。夫も仕事が休みになり「付き添うから病院に行こう」と説得されて、ようやく行くことにしました。

 

最近は明治神宮の朝散歩が日課
最近は明治神宮の朝散歩が日課

── 結果はどうだったんですか?

 

立花さん:近くの病院に診察に行ったら、すぐに大きな病院を紹介されて、そこで症状を話すと検査を前倒しでやろうと周りがバタバタし始めて。その時点でも私はどこか他人事というか「これって私のことなの?」という感じだったんです。

 

そこからありとあらゆる検査をして、直腸がんだということがわかりました。あんなに怖かった大腸検査もやってみると思ったよりもたいしたことはなく、もっと早くにやっておけばよかったと、とても後悔しました。

 

── その後に手術をしたのですか?

 

立花さん:放射線、抗がん剤治療をした後に、手術をすることになりました。手術もやっぱりとても怖くて…やりたくないと思ってしまいましたが、そのときも婦人科医師の友人が夫といっしょに、私を説得してくれました。「子どもはまだ高校生なんだから、母親が必要だよ」と。メンタルの部分だけでなく、こういう病気でどうして手術が必要かなど、医師の視点から説明してくれたのも心強く、ようやく決断できました。

「誰にも見られたくない」外出が怖くてうつ病に

── 12時間にも及ぶ大変な手術だったそうですね。退院後はどのように過ごしていたのですか?

 

立花さん:直腸がんで腸、子宮等の摘出手術を受けました。術後は、治療の副作用などで顔がむくんだり、疲労感がひどかったり。「誰にも見られたくない…」と引きこもりがちになりました。抗がん剤治療の影響で外出中に気持ち悪くなったらどうしよう…と考えると外にも出られなくなり、うつ病を発症してしまったんです。友人から連絡が来ても、返信するのもしんどかったですね。

 

闘病を支えてくれた西村知美ちゃん(左)と姉と慕う東ちづるさん(中央)と
闘病を支えてくれた西村知美さん(左)と姉と慕う東ちづるさん(中央)と

── どのように立ち直っていったのですか?

 

立花さん:家族の支えはもちろんですが、友人たちに本当に助けてもらって。千葉美加ちゃんは直腸がんがわかったときも一緒に泣いてくれて、退院後も根気よく私を説得して家から連れ出して、食事や観光名所などに連れていってくれました。

 

西村知美ちゃんはカラオケ大会を開いてくれたり、ドラマ「ビー・バップ・ハイスクール」のメンバーは夫が経営する蕎麦店を食べに来てくれたことも。吉本新喜劇の浅香あき恵さんとは家族ぐるみで以前から仲がいいのですが、「返事はいらないからね」と気を使った連絡をくれたり、東京に来た際は会いに来てくれたりと、とても心配してもらいました。

 

こういう状況になって、私は周りの人に恵まれていると感じることができました。

 

「たくさんの友達に助けられました」と立花さん
「たくさんの友達に助けられました」と立花さん

── どうして今回、病気のことを公表しようと思ったのでしょうか?

 

立花さん:仕事先で毎回病気のことを説明するのも大変なので、公表してしまおうかなと。知っていた友人は「よく公表したね」「頑張ったね」と言ってくれました。そして私の公表を報道で知って、がん検診に行って、がんが発見された友人もいたようです。

 

実は少し前から、早朝に明治神宮で散歩を始めたんです。開門と同時に行って友人と話しながら歩くと、気分もリフレッシュできるし、体力もつく。でも、始めた当初はなかなか続かなくて、ブログに書いたらサボれなくなるかなと(笑)。おかげで最近ではサボらずに続けられているし、内臓脂肪も落ちて、服用していた薬なども飲まなくてよくなりました。

 

── 今後の目標などあれば教えてください。

 

立花さん:私は友人医師にあれほど早く検査をしろと言われたにも関わらず、先延ばしにしたことを後悔しました。当時は痛くても「これはきっとすぐ治る、たいしたことではない」と、自分の都合のいいほうに考えてしまって。あとは「まさか自分が病気なわけがない」という気持ちもありました。

 

術後3年が経ち、最近では定期検診の間隔も長くなってきました。それでもいまだに検診前はドキドキします。

 

最近は、自分の経験を発信することが大きな支えになっています。私の経験を知って救われたと言ってくださる方がいて、そういう人のおかげで私も救われています。これからも誰かの役に立っているといいなと思いながら、自分の体験を発信していきたいと思っています。

 

PROFILE 立花理佐さん

1971年生まれ大阪府出身。1986年に「第1回ロッテ CMアイドルはキミだ!コンテスト」で優勝し、芸能界デビュー。ドラマ「毎度おさわがせします3」や映画「ビー・バップ・ハイスクール」に出演。歌手としてのヒット曲も多く、現在はバラエティなどでも活躍。

取材・文/酒井明子 画像提供/立花理佐