ドラマ化されたコミック『CAとお呼びっ!』などでおなじみの人気漫画家・花津ハナヨさん。コロナ禍で離婚され、現在、シングルマザーとして二人の子どもを育てています。その背景には産後8年経ってから判明した「産後うつ」の影響がありました。(全2回中の1回)

 

人気漫画家・花津ハナヨさん
人気漫画家・花津ハナヨさん

病院へ行ったら「8年前から産後うつ」と診断

── 3年前に「コロナ離婚」をされたと伺いました。

 

花津さん:ちょうどコロナ禍の真っ最中に、結婚8年目で離婚しました。元夫とはお付き合いの期間も含めると15年くらい一緒にいました。最初の出会いは合コンです。31歳から付き合って、同棲を経て、38歳で結婚しました。入籍する日を先に決めて、そこから先に妊活を始めたんです。そこからわりとすぐ子どもを授かりました。現在は10歳と7歳、2人の娘がいます。

 

── コロナ禍になって生活スタイルが激変したことが大きかったのでしょうか?

 

花津さん:そうですね。コロナ禍でお互い家にいる期間が長くなり、私も彼も家で仕事をしていたのでずっと一緒にいるような状態が続くうちだんだん食事ができなくなりってきて、激やせしてしまったんです。それこそダイエット系の広告のように、ジーンズのウェストにこぶしひとつ入ってブカブカになるくらいに。

 

「これは何だろう?」と思って病院に行ったら、「産後うつ」だと言われたんですよ。「子どもが生まれてもう8年にもなるのに産後うつなんですか?」と医師に聞いたら、おそらく8年前から産後うつにはなっていて、治ってなくて何回もぶり返してると。でも、言われてみれば思い当たることがいっぱいあって。

 

── 思い当たることというのは?

 

花津さん:子どものことは、もちろん、今はすごくかわいいと思っていますが、産後すぐは、かわいいと思えなかったんです。あと、私が笑顔になれない。笑った記憶がほとんどありません。目が覚めたときからもう元気がない状態ですね。夫婦仲もうまくいっているとはいえませんでした。

 

産後うつが8年も長引くというのはきっと珍しいですよね。私も診断が下ってびっくりしました。多分、子育てと仕事に必死すぎて、自分のことを後回しにしていたから産後うつに気がつかなかったんじゃないかと思います。

子育てしてみて気づいた「こんなに考え方が違ったんだ!」

── 離婚するにあたって、お相手にはスムーズに納得いただけたのですか?

 

花津さん:別に彼に悪いところがあるわけじゃないので、なかなか納得してもらえなかったと思います。離婚の原因は、いわゆる性格の不一致。夫婦で考え方が違うところがおもしろいと思っていましたが、子どもが生まれたら、その部分で衝突するようになりました。

 

── お付き合いや同棲されていた時には気がつかなかったんですね。

 

花津さん:その頃は、それぞれの生活をする大人がただ二人で暮らしているというだけで、子育てのような共同作業をしたことがなかったからわかりませんでした。子育てをしてみて初めて「こんなに考え方が違ったんだ!」というのに気がつきました。

 

たとえば、教育方針。彼は子どもにレールを敷いてあげたい派、私は子どもに選択させてあげたい派。そこで度々ぶつかりました。他の面でも、コロナ禍という非常事態のなか、考え方の違いがあぶりだされて、お互いの距離が広がっていき、修復できなくなってしまった感じです。
 

── そういうことの積み重ねが離婚につながったんですね。

 

花津さん:産後うつの診断がおりた頃、私は過敏性腸症候群にも悩まされていました。頻繁にお腹が痛くなっていたんですけど、原因が思い浮かばなくて。夫婦で話し合って別居をしてみたら、すごく元気になったんですよ。「原因は彼との性格の不一致だったんだ」と確認できたので、離婚へと踏み切りました。

 

人気漫画家・花津ハナヨさん
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曜日を決めて子ども達は元夫の家にお泊り

── お子さんもいらっしゃいます。今の二人の距離感はどんな感じですか?

 

花津さん:子育ては二人でしています。大人の都合で離婚してしまうけど、子どもたちには父母どちらともすごしてもらえたらと思って、話し合って決めました。子どもが行き来しやすいように元夫と近距離に住んでいますし、週2回は曜日を決めて子どもたちは元夫の家宅にお泊りしています。私も漫画を描かねばなりませんし、夜は子どもの世話に追われて全然仕事が進まないので、週2日預かってもらって助かってます。飲み会などの予定も、預かってもらう日に入れるようにしています。

 

── 今がいちばんいい関係なんですね。

 

花津さん:そうですね。離婚して気づきもありました。結婚しているときに、いまみたいに、曜日を決めてそれぞれが自由にできる時間が持てたら良かったなと。結婚している間は、飲み会や誰かと会うために彼に仕事の調整をしてもらってまで子どもを預かってもらうことに罪悪感を感じて、あまり出かけていませんでした。あらかじめお互いの自由時間を決めておけばもっと気持ちよく過ごせたかもしれないなと、今になってから思います。

 

PROFILE 花津ハナヨさん

はなつ・はなよ。漫画家。1994年「なかよし」(講談社)にてデビュー。代表作『CAとお呼びっ!』(小学館)は2006年にドラマ化された。現在、漫画アプリPalcyで『シンママ(42)、アプリで運命の恋を見つけます。』(講談社※電子コミック1巻配信中)のほか、『情熱のアレ 夫婦編』(白泉社)、『セカンドパートナー』(白泉社)を連載中。

取材・文/富田夏子 画像提供/花津ハナヨ