37歳で長男を、41歳で次男を出産した遠藤久美子さん。高齢出産には不安もあったそうですが、夫の横尾初喜監督をはじめ、多くの人の支えがあったと語ります。(全5回中の4回)

 

遠藤久美子さんとお子さん
37歳で第一子、41歳で第二子を出産した遠藤久美子さん。写真は次男出産時

「無事に育つのか」不安を払しょくしてくれた産婦人科医の言葉

── 37歳と41歳での出産は、いわゆる高齢出産になるかと思いますが、不安はありませんでしたか?

 

遠藤さん:友人たちはみんな20代前半で出産していたので、子どもを授かったときも「この子は無事に育つんだろうか」というのが一番の不安でした。でも、私のかかりつけ医だった女性の先生が、すごく前向きでポジティブな先生で。

 

「全然大丈夫です!うちの姉なんて42歳で初産ですが、ばっちり産んでます!」って言ってくださって(笑)。パワースポットなんじゃないか、っていうぐらいいい先生なんです。LINEを教えてくださって、「時間帯関係なく連絡していいですよ」って言ってくださったので、不安なことがあったり痛みがあったりしたときに、気軽に相談ができたのもありがたかったですね。

 

── いい先生にめぐり合ったんですね。

 

遠藤さん:そうですね。41歳で2人目を授かったときも、その先生が「全然大丈夫!」と言ってくださって。本当に支えられました。

 

1人目のときは初めてだったこともあって、助産師さんとなかなか息が合わず、吸引分娩だったんです。出てきたときに、頭に紫っぽい痕がついてしまって…。「ごめんね~」っていう初対面でした。

 

なので、2人目はどうにか何事もなく産みたい、と思っていたんですが、ありがたいことにつるんっと出てきてくれて。夫も「超安産だったね」って言ってくれました。

 

遠藤久美子さんの夫の横尾初喜監督
2度の出産には夫の横尾初喜監督が立ち会った。写真は第一子出産時のもの

出産に立ち会った夫が驚くほど頼もしかった

── ご主人は出産に立ち会われたのですか?

 

遠藤さん:はい。長男のときも次男のときも、立会ってくれました。夫は分娩台で私がパニックになってるときに、全部説明してくれるんです。とにかく分析力がすごいんですよ!

 

まず分娩室に入ったときに、部屋にある機材とか、先生が何人いて、担当は何なのかを全部チェックして…。「このモニターは何ですか?」「陣痛のモニターで、痛いのと収まるのとが繰り返されますよ」と先生から説明を聞いて。

 

それを見ながら「ハイ、もうすぐ痛くなくなるから大丈夫だよ。今寝といたほうがいいよ」「ちょっとまた痛くなるよ~、大丈夫だよ」って手を握ってくれて。「今ピークだからこれ以上痛くならないよ」って言ってくれたり。

 

── 安心感がありますね…!

 

遠藤さん:そうですね。長男のときはカメラも回してくれていたんです。私も出産の軌跡を残しておきたくて。でも、次男のときはふたりとも出産に没頭してしまって(笑)、カメラを回す余裕はなかったです。ちなみに、へそのおは夫に切ってもらったんですよ。冷静に「自転車のチューブみたいですね」って言ってましたね。

 

母からは「女はね、黙って産むのよ。ギャーギャー言わないでね」とだけ言われました(笑)。

 

お母さんに抱かれる赤ちゃんのころの遠藤久美子さん
赤ちゃんのころ、ふくふくほっぺの遠藤さん。お母さんにそっくりです

── それはなかなか難しいような…。

 

遠藤さん:私は5人きょうだいなんですが、5人も産んでいる母から言われるとけっこう説得力がありました。実際、叫ばないで産んだんですけれど、夫にとっては衝撃だったみたいです(笑)。痛みに強い家系なのかもしれませんね。

 

3人目も欲しいなと考えたんですけど、私たちも高齢ですし、子どもが20歳になるとき私たちはいくつなんだろう…と、この先のことを考えて「子どもは2人で十分」と決めました。それに、子どもが3人いると、小さいうちは夫婦ふたりで対応しきれなくて、一番上の子はひとりで過ごす時間が増えてしまうだろうなと。でも2人なら片方がママ、片方がパパ、という具合でひとりずつ対応できるかなというのもありました。

長男がパパっ子に「今は意識的に一緒に過ごしている」

── たしかに、小さいうちはそうなりがちですね。

 

遠藤さん:私が次男を出産するとなったときは、長男も戸惑ったと思うんですよ。今までは「100%長男」だったのに、いきなりお母さんが5日間いなくなって、帰ってきたと思ったら赤ちゃんを連れてきて、「今日から家族だよ」って言われるわけですから。

 

でも、次男の出産後、私がいっぱいいっぱいで上の子が寂しい思いをしていたときは、必ず夫が遊んだり一緒に寝たりしてサポートしてくれて。だから今、長男とお父さんの絆がすごいんです!「パパさえいれば平気」みたいな。逆に、パパが怒ったときは「地獄に突き落とされたんじゃないか」ってぐらい悲しむんです。

 

なので、今は夫と話して、私と長男の「空白の時間」を埋めるためにも、次男を夫に見てもらい、私が長男と一緒に過ごす時間を意識的に増やすようにしています。

 

── お仕事にはすぐ復帰されたんでしょうか?

 

遠藤さん:長男の産後2か月で復帰したんですが、仕事は月に一度程度でしたね。いまだに泊まりは難しいので、舞台は大好きですけど、もう少し復帰は先になりそうです。もうちょっとして次男が幼稚園に通い始めて、年長さんぐらいになったら、少しずつ復帰できるかなと思っています。

 

それでも、息子たちは6歳、4歳になってずいぶんとラクになりました。お父さんと息子たちの絆もできてきて。夫は夜の寝かしつけもばっちりなんです。

 

── 横尾さんは寝かしつけも担当できるんですね。

 

遠藤さん:できます!1日中見てもらえます。今は夫の母と同居していて、食事は作ってもらっているんですが、それ以外のことは全部、夫にまかせています。普段は次男がおもちゃで遊んでいる横で夫がリモートワークしていることが多いですね。

 

PROFILE 遠藤久美子さん

1995年にマクドナルドのCMでデビュー。『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』などのバラエティや舞台、ドラマなど幅広く活躍。2016年に映画監督の横尾初喜さんと結婚、二児を出産。横尾監督最新作『こん、こん。』にも出演中。

 

取材・文/市岡ひかり 写真提供/遠藤久美子