フリーアナウンサーとして活躍する金井憧れさん。現在2歳の女の子のママでもあります。最近最愛の母の死を経験し、子育てを始め、日々の生活で大きな心の変化があったそうです。
母の死を経験して学んだことは
── お仕事を続けながら現在1児のママとして子育てもされてらっしゃいます。大変だなと思うことはありますか?
金井さん:みんなに「大変でしょう?」と言われるんですけど、「大変なことはみんな一緒」と思っています。あと、私の場合、仕事の時間を持っていることで気持ちに少し余裕ができ、子育てをより楽しめているのかもしれません。子育てをしていると、もちろんいろいろうまくいかないこともありますけど、面白がっていますね。
昨日も娘が、ご飯も食べてお風呂も入って、本も読んで「さあ、寝ましょう!」となったときに「おなかすいた」と言い出して。今からまたごはんを出して、食べさせて、歯を磨いて、片づけて…。同じことを繰り返すのがしんどいと思ったのですが、やりました。しょうがないですよね。大人だって予想外におなかがすくこともありますし。
でもこの面倒な出来事を違う側面から見たら、娘と意思疎通がはかれるようになってきたということであり、それは娘の成長だなあと。ハプニングも楽しもうと思うようになりました。
とはいえ、子育てしているとハプニングも毎回レベルが上がっていくじゃないですか。解決したと思ったら「次はこういう問題が出てくるの?」って(笑)。そういう連続がいつかはなくなると思うと「今のこの瞬間を楽しまないと」と俯瞰で見るようにしています。
── 最近最愛のお母様を亡くされたとお聞きしました。おつらい経験でしたね。初めての子育てについても教えてもらいたいこともありましたよね。
金井さん:私はひとりっ子だったので母といる時間も長くて、「憧れ」という個性的な名前で悩んだときなど、さまざまな困難をともに乗り越えてきた友達のような存在でした。
母の死を経験し、人はいつどうなるかわからないなと思うようになりました。何げない日々を生きていくことは簡単のようで難しく、貴重なことなんだと、あらためて感じるきっかけとなりました。毎日「悔いなく幸せだった」と1日の最後に思えるように生きていきたい。今思うと、子育てのいろいろなハプニングを楽しめるようになった理由のひとつかもしれません。
アナウンサーならではの「子育てあるある」
── 子育てするうえで、「これは大事にしよう」と思っていることはありますか?
金井さん:特に娘の前で使う言葉を大切にしています。2歳で急激に言葉の数が増えて、すごくしゃべるようになったのですが、娘が発する言葉、リアクション、ほどんどが私たち両親そのままで(笑)。ちゃんとした日本語を話さないといけないなと日々感じています。
── 小さいころから正しい言葉を教えることができるというのはアナウンサーのママならではのことで、素敵ですね。
金井さん:あとは、読み聞かせなどにも力が入るところはアナウンサーママならでは、かもしれません(笑)。絵本にいろいろな動物が出てきたらキャラクター像を考えて声色を変えたり、2回目は違う感じで読んだり…。
ナレーションのお仕事では、「次はテンション上げた感じで」とか「大人な感じで読んでください」とか、何パターンか読むことが多いんですね。そのように絵本も読んでいます。自分で勝手に課題を課しているところがあるかもしれませんが、娘もそれを喜んでくれていますね。
それと、アナウンサーだからなのか、私のリアクションが大きめなんですよ。楽しそうなものとか、美味しいものとかあるとリアクションが大きくなっているのですよね。それが娘にとってはわかりやすく面白いみたいで、アナウンサーは子育て向きなのでは?と思ったりしますね(笑)。
── 子育てをとても楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきます。きっと亡くなられたお母様も頼もしく感じていらっしゃると思います。
金井さん:母が急に亡くなってしまい、もう、私も終わったなと思ったくらい悲しみに暮れました。私がひとりだったらどうなっていただろうと想像すると恐ろしいのですが、家族、親戚のおかげで乗り越えられてきているところです。本当に感謝しかありません。
私が暗い顔をしていても母は喜ばないと思いますし、「こんなに楽しいところに一緒にいられなくて残念だね!私たちは楽しく生きてるよ!」と母に見せつけてやるんだという気持ちに今は満ちています。
娘の成長とともに、本当は母に聞きたいことがたくさんあって「これであってる?」と空を見上げたりすることもあります。きっと応援してくれていると思うので、毎日笑顔で頑張りたいですね。母はいつも私の味方で何事にも背中を押してくれたので、私も同じように娘の一番の応援団でいたいなと思います。
PROFILE 金井憧れさん
フリーアナウンサー・キャスター(TBSスパークル所属)として、テレビやラジオなどさまざまな現場で活躍中。本名の「憧れ」という珍しい名前でも知られ、プライベートでは2歳の女の子のママとして子育てにも奮闘中。
取材・文/加藤文惠 画像提供/金井憧れ