穏やかな笑顔が印象的な中山忍さん。美しさにますます磨きがかかり、自身の考えをしっかりと持った生き方にも共感が集まっています。そんな中山さんに、ライフスタイルや結婚観について伺いました。(全5回中の5回)

 

女優の中山忍さん

結婚には結局、踏みきれなかった

── 結婚を考えていた時期もあったとお聞きしました。

 

中山さん:15歳でデビューしてから年代ごとに好きな人がいました。特に10代のころが一番結婚願望が強かったのかな(笑)。

 

今、ここで私が「うん」って言ったら結婚することになるのかな、と思うような方もいましたが、そこまで踏みきれなかったというか。かと思えば、自分のほうが「好き!」という思いがあふれてしまったこともあって。「結婚したい」ってマネージャーに伝えたら、「好きにすればいい」と言われたけれど、結局うまくいかなかったり。

 

「恋愛しちゃダメ」とか「結婚しちゃダメ」って言われたことはないんです。でも、自分で仕事か恋愛か、仕事か結婚か、どちらかを選ばなきゃいけない気持ちになってしまっていました。どうしてでしょうね。やっぱり決めるのは簡単ではなかったです。恋愛や結婚をした状態で仕事に本気で向き合うことが難しいと思っていたのかもしれません。

 

── どちらに対してもきちんと向き合いたかったんですね。結婚するかもしれないと思ったのは何歳ごろですか?

 

中山さん:30代前半です。当時、すごく熱心に結婚を申し込んでくださった方がいて。

 

── でも、踏みきれなかったんですね。

 

中山さん:もしかしたら、そこまで結婚に対して熱烈な思いがなかったのかも。当時は、まわりから「さほど売れてるわけでもないのに」と言われたりもして。仕事にもっと真摯に取り組みたいという思いもあったんだと思います。

結婚はしてもしなくても、どちらでもいい

── 現在は結婚願望は…?

 

中山さん:今年の1月に50歳になりましたが、個人的には結婚する人生もいいものだろうなとは思っています。20代、30代で結婚をして家庭をもって、子どもを育てて、山も谷も乗り越えて…という人生って素敵だなって思うんです。でも、自分はたまたまその世の中的な流れには当てはまらなかった。そのことは後悔していません。

 

中山忍さん
友人の披露宴に出席したときの一枚(写真提供/中山忍)

50代で結婚していないと、「なんで結婚しないんですか?」って結婚しない理由を求められるようになるのですが、かっこいい主義主張があればいいんですけれど、それは別にないんですよね。

 

結婚してもいいし、しなくてもいい。たしかに結婚していないと老後は寂しいと思われるかもしれないけれど、かわいい姪っ子や甥っ子がいるし。彼らが大人になるのを見守ることも楽しいんです。

将来のため足腰を鍛える筋トレにハマって

── 今の日常で大切にしていることはありますか?

 

中山さん:大切にしているのは、自宅で簡単にできる筋トレの時間ですね(笑)。ラジオ体操以外に、最近はプランクとかかと上げを毎日行うのが目標なんです。習慣にすることが大事だと聞いたので。

 

私、「88歳まで現役でいよう」って思っていて。以前、健康情報番組に出演させてもらったとき、病名がつくような症状はなかったのですが、唯一ふくらはぎが細くて、あまりにも細いとおばあちゃんになったときに足腰の病気になる可能性が高いって言われたんです。それで「ならば足腰を鍛えよう!」と。

 

女優の中山忍さん
88歳まで演じ続けるためにも足腰は丈夫でいたい

番組では、「87歳まで元気です」とお墨付きをもらったので、今から鍛えればもうあと1、2年くらい増えるんじゃないかなと思って。だから、「88歳まで現役でいよう」と決めました(笑)。

愛犬との日々は「こんなに大変だと思わなかった」けれど

── 最近、ご自宅での時間で楽しみにしていることはありますか?

 

中山さん:昨年、犬を飼い始めました。ずっと飼いたい気持ちはあったのですが、仕事で家を空けることが多いし、難しいと思っていたんです。でも、義妹夫婦が半年前くらいにトイプードルを飼い始めて、それがかわいくてしかたなくて。

 

私、弟たちから「ぶーちゃん」と呼ばれているんですけど、「ぶーちゃんも飼ったら?」って。「忙しいときは預かるよ。大丈夫だよ」って言ってくれて。「そんなの悪いから」と一度はあきらめたんですけど、「今この言葉に甘えないと一生犬は飼えない」と思い立って、迎えることにしました。

 

いざとなったら抱えて走れる小型犬をと思ってポメラニアンを選んだのですが、想像以上に暴れん坊で。しかも、ブリーダーさんがおっしゃったとおりの“かまってちゃん”。こんなにかわいいとは思わなかったと同時に、こんなに大変だとも思わなかったです(笑)。

 

今年1月の誕生日には愛犬とムーミンバレーパークへ(写真提供/中山忍)

散歩も拒否するんです。しかたないから近くの公園まで抱っこして行くんですけど、地面に下ろそうとすると、その瞬間、私の腕にしがみついて「下りない、下りない」って。

 

よそのワンちゃんを見かけると追いかけていっちゃうし、落ちているものをなんでも食べちゃうし。今流行っているのは、カーペットの端っこをほぐして、べべべーって引っ張って食べるという遊び!「もうやめてくれ~」って思うんですけどね。

 

一方で、人間もワンちゃんもみんな大好きで。「きっと怖いっていう感覚がないんだろうな」って呆れちゃうんですけど…そんなうちの子がやっぱり愛しいです。

おばあちゃんから悪人まで、なんでもできる女優でありたい

── 今後の目標はありますか?

 

中山さん:昔から言っているのですが、自分がお母さんの年齢になったらお母さんの役をやりたいし、おばあちゃんの年齢になったらおばあちゃんの役をやりたい。良い人も悪い人も、犯人役も警察側の役もなんでもやりたいし、できる人でありたいと思います。

 

私がこれまでお世話になってきた方々のようにはできないかもしれないけれど、これから仕事を頑張ろうと思う人たちを、「頑張れ」と応援したい。そういう役割を担う年齢になってきたと思っています。

 

── 今まで先輩にしてもらったように若い人たちをフォローしたい、と。

 

中山さん:そうですね。「働く」って簡単じゃないなって思うんです。自分の力量不足でやりたくてもできないこともあるし、楽しいことばかりじゃないし、うまくいくことばかりじゃない。でも、やっていればいいこともある。それを若い人に知ってほしいし、みんなで頑張っていきたいなと思うんですよね。

 

受け取り方って人それぞれだから難しい部分もあると思います。でも、中山忍を遠くから見て「頑張ってるなあ」って思ってもらえたら嬉しい。そうなるように頑張りたいです。

 

 

PROFILE 中山 忍さん

1973年生まれ。1988年、ドラマ「オトコだろっ!」でドラマデビュー。出演映画「ガメラ~大怪獣空中決戦~」では日本アカデミー賞優秀助演女優賞などを受賞。以降、ドラマ・映画等幅広く活躍している。9月28日にはBS朝日4K時代劇スペシャル「無用庵隠居修行7」に出演。10月14日・15日にはデビュー35周年バスツアーを開催予定。

 

衣装クレジット:ベスト/テラ(ティースクエア プレスルーム) ニットワンピース/ヌナ(株式会社アンティローザ) シューズ/チャールズ&キース(チャールズ&キース ジャパン) ネックレス、イヤリング、リング/すべてアガット(アガット)

 

取材・文/高梨真紀 撮影/北村史成 ヘアメイク/佐々木博美 スタイリング/福田亜由美