16歳で芸能界デビューし、20代はたくさんの経験をさせてもらったと話す中山エミリさん。娘さんは昨年小学校へ進学。今後の育児と仕事のバランスについて聞きました。(全3回中の3回)

15歳のデビューからご縁に恵まれた芸能生活

── 16歳のときに「ポカリスエット」のCMで一躍ブレイクされ、90年代は、数多くのバラエティーで大活躍されました。

 

中山さん:20代は本当にいろいろな経験をさせていただきました。ただ、常にスケジュールに追われ、睡眠時間が2~3時間というときもあったので、次に何をすべきか混乱してしまうことも。もともと器用ではないので、一つひとつのお仕事と向き合うのが精いっぱい。今思えば、すごく貴重な時間を過ごさせていただいたと思うのですが、当時は、それを感じられるような余裕もなく、とにかく目の前のミッションをこなすことに必死。ハムスターが回し車で延々と走り続けているような感覚でしたね。

 

「上手にできなくてしんどい」と感じた時期もありましたが、それでも周りの人たちが本当にいい方ばかりでずいぶん助けていただいたので、なんとか楽しみながら続けることができました。当時のスタッフさんたちとは、今でも交流が続いていて、いちばん長い方たちとは、来年で30年になるんですよ。

 

美少女すぎる...!デビュー当時15歳の中山さん

── 30年ですか!番組が終わってもずっとおつき合いが続いているのはすごいですね。

 

中山さん:皆さんお忙しいですから、頻繁にお目にかかることはできませんが、年賀状のやり取りなどで繋がっている方もいます。お世話になりっぱなしで、何も恩返しできていないことに申し訳ない気持ちもありますが、「なんとか元気でやっています」くらいの報告はできています。こうしてまだおつき合いが続いているのは、本当にありがたいなあと思います。

 

── 人との出会いや絆を大切にされていることが伝わってきます。

 

中山さん:人との出会いや縁というのは、本当に不思議で、奇跡みたいなものだと思うんです。もしも違った人と出会って、違う経験をしていたら、まったく別の人生を歩んでいたかもしれません。そう考えると、これまで関わってくださったすべての方のおかげで、今の私がいるんだなと感じます。

 

できれば、子どもにもそういう出会いを経験してもらいたいなと思いますね。それが、人生の大きな財産になりますから。

 

── 素敵な考え方ですね。いい人間関係を築くために、意識していることはありますか?

 

中山さん:あまりたいしたことはできていないのですが、「ありがとう」や「ごめんなさい」といったお礼や感謝、時にはお詫びなどの気持ちを、心を込めて伝えることだけは大切にしている気がします。

徳光和夫さんの仕事から学んだこと

── これまでの芸能生活を振り返って、印象に残っている出来事はなんでしょうか?

 

中山さん:いろいろとありますが、徳光和夫さんからは、番組づくりの姿勢とコミュニケーションの力を学ばせてもらいました。

 

徳光さんと歌番組の司会をご一緒させていただいていたときのこと。まだ経験が浅く、余裕のない私を見て、「エミリちゃんも一緒に行く?」と共演者の楽屋挨拶に連れていってくださいました。すると、徳光さんみずから、共演者の方に「今日は暑いねえ」などと、雑談をなさるので、みなさんリラックスして、番組の雰囲気がなごやかで楽しいものになるんですね。MCというのは、自分の家にお友達を招くような気持ちでゲストをお迎えをし、一緒に楽しんでいいただくという思いをもって番組に携わっていくことが大事だということを学びましたね。

 

── そうした番組の雰囲気は、視聴者にも伝わりますよね。

 

中山さん:まだキャリアの浅い20代で大先輩のプロフェッショナルな姿を間近で学ぶことができたのはすごくいい刺激になりました。

 

「大先輩方のプロフェッショナルな姿を間近で学ぶことができた」20代のころ

インスタは若手のマネージャーに教わって

── 今後、お仕事と育児はどのようなバランスでやっていかれるのでしょうか。

 

中山さん:子どもが小さいと、どうしても学校のお手伝いがあったり、習い事の役員なんかが回ってきたりするので、実質的に、お仕事にかけられる時間が限られてくるというのはあります。今は、ほぼすべての時間を子どものことに使っているという感じなので、一つひとつに集中してお仕事に向き合うことがなかなか難しいのが現状です。でも、やっぱりたくさんの方に出会って、いろんな刺激をもらえるこのお仕事が好きなので、チャンスがあれば、いろんなことをやってみたいという気持ちはありますね。

 

── ちなみに、ブログもSNSもやられていませんよね。タレントさんだと、珍しいケースな気がします。なぜでしょうか?

 

中山さん:お恥ずかしながら、かなりの機械音痴で、ブログやSNSもやったことがなくて。子どもが習い事を始めてから、「情報はインスタに上げるのでそれをチェックしてください」と言われることが増え、慌てて若手のマネージャーにやり方を教わって、なんとか見ることだけはできるようになりました。

 

── この先、SNSで皆さんと交流される予定はありますか?

 

中山さん:そもそも、私がどこに行って、何を食べたとか、そういった情報をいったい誰が知りたいんだろう?と思うんですよね…。自撮りをすることもないので、自分の写真もスマホにほとんどないですし。ただ、人がアップしてくれる情報を見るのは好きです。

 

でも、いざ自分が発信するとなると、家事の合間のボーっとするご褒美タイムがなくなってしまうな…と。おまけに、皆さんすごく食卓なんかも凝っていて綺麗じゃないですか。うちは茶色ばっかりで地味すぎて見てもつまんないだろうし、ひとりのときのご飯なんて、子どもの朝ごはんの残り物とかなので、とても見せられたものじゃない(笑)。外食に行っても、食事を写真に収める習慣がないので「食べ終わりました!」という報告だけになっちゃいそうです。

 

十分おしゃれです!中山さんお手製の食事のワンシーン

──「食べ終えました!」の報告のみというのは、逆に新しい気も(笑)。ですが、その飾り気のなさが、エミリさんらしくていいですよね。SNSでは、どんなものを見るのですか?

 

中山さん:最近ハマっているのが、動物の動画です。豚やナマケモノ、かわうその動画を見るのが日課になっています。ゆったりとしてあまり動きがないのですが、逆に、それに癒やされています(笑)。

 

PROFILE 中山エミリさん

1978年、神奈川県生まれ。1994年、15歳で芸能界にデビュー。ドラマやCM、2000年代にはバラエティ番組の司会としても活躍。2010年、プロライフセーバーの飯沼誠司さんと結婚。2015年に出産。現在7歳の女の子のママ。

 

取材・文/西尾英子 画像提供/中山エミリ