「先生、優勝です」サラリーマンパパが描く漫画「心をうたれた保育士の言葉」が泣ける

幼少期はどうしても手がかかるもの。そんな中、ベテラン保育士が保護者に向けて放った言葉にハッとした出来事を描いた月光もりあさんの漫画が話題になっています。

子育ての渦中で気づきにくい「慌ただしいけれど愛しい時間」

月光もりあさんはサラリーマンとして働くかたわら、日々の日常生活を漫画に描いてInstagramに投稿している1児のパパ。平日は幼稚園に通う娘の送り迎えも妻と交代でこなし、週末は子どもと過ごすのが楽しくてしょうがないという子煩悩なパパにとって、この漫画に描いた出来事は衝撃的で、ハッとする場面だったそう。

それは幼稚園の入園式で、年中に進級する保護者に向けて担任の先生が話をしたときのこと。ベテラン先生でもある担任が語ったのは、自身の体験談でした。

「皆さん、毎朝早く着替えなさい！早く食べなさい！って、言ってますよね。わたしもそうでした」

みずからも3人の子を育て上げ、毎日慌ただしい日々を過ごしていたという先生。

「小学校、高校と成長するにつれて手がかからなくなりますが、次はお金がかかります。学費がかかるんです。そして、お金がかからなくなる頃に子どもは家を出ていきます。なんだかとっても寂しいけど、あの慌ただしい日々が今はものすごく恋しいです。だからみなさん、日々大変ですが、少しでも優しく接してあげてください。今を大事にしてください。私はその慌ただしい日々を今ここでまた味わうことができて幸せです」

それを聞いていたもりあさんはまだ先のことだろうと思っていた「子どもの巣立ち」をリアルに想像し、ハッとしてしまったそうです。

「進級に伴う連絡事項を伝える前にさらっとお話されたことだったのですが、めちゃくちゃ心をうたれてしまって。まさに今、慌ただしい子育て中のわが家。日常風景である片づけても散らかる部屋や玄関に無造作に並ぶ靴などが、巣立った後に整頓され空虚な場所になった画が頭に浮かびました。そういう日が来るんだなと思えてきてなんだか急に寂しさが込みあげました」

フォロワーからは「本当に過ぎた日々は戻りません。小さい頃の息子をもっと甘やかせてあげればよかった、もっと抱き締めれば良かったといっぱい後悔はあります！」と子育てを終えて思う気持ちや、「子どもと過ごせる時間なんてあっという間ですよね。明日の朝には抱きしめます」と、子育中の人からも声が寄せられました。

「今の日常からは想像できない巣立った後の日々を今意識することができてよかったです。先生の言うように、忙しさからつい子どもを急かしたり、一方的に指示したりしがちでしたが、この時間が限られたものであることを忘れないようにしたいですね」

「優勝です」子育てして初めてわかる保育士さんのすごさ

「そういう風に子どもを預かってくださる保育士さんには頭が上がりません。漫画の最後に描いた『先生、優勝です』は自分なりのリスペクトを伝えたかったんです。親になって初めて子育てし、ひとりの子育てでもてんやわんやなのに、大勢の子どもたちをお世話する保育士さんがいかにプロフェッショナルかを知りました。入園前にまだ慣らし保育で幼稚園に通ってたときですら、先生って子どもと親の顔と名前が全部頭に入ってたんですよ。本当にすごい、のひと言です。社会人としても尊敬です。

昨今の保育士さんの働く環境についても社会問題になっていますが、仕事量に対して報酬が割に合わないだろうなと現場を見てリアルに思いました」

もりあさんの投稿に寄せられたコメントには同じように保育士さんへ感謝を感じている保護者の言葉や逆に保育士からも理解に感謝を述べるやりとりが見られました。

「なかなか伝える機会がないなか、今回の投稿が多くの方の目に留まり、保育士さんに感謝しているという保護者の声を拡散できたのはよかったです」と、今回の投稿が社会問題ついて世に問いかける機会となり、何か環境が変わってくれるきっかけになってくれたら嬉しいと話すもりあさん。

子育ての渦中にいると、まだ先のことすぎて想像しにくい、いつかやってくる「子どもの巣立ち」。子育てができる期間は限られているということを改めて考えさせられますね。