長男が小学5年生のときに再婚した知念里奈さん。その後、12歳の年下の次男が誕生。ステップファミリーとして、家族とどのように向き合ってきたのでしょうか。

ママ、嫌になってない?

── 2016年に再婚されました。長男さんは当時小学5年生だったそうですが、家族の関係性はいかがでしたか?

 

知念さん:再婚するまでおつきあいの期間が長かったので、元々、長男が家族になることをとても待っていた、望んでくれましたね。そういう意味では結婚はとてもハッピーな出来事だったと思います。

 

── 長男さんがおいくつくらいの頃から、旦那さんに会われていたのでしょうか?

 

知念さん:たしか3、4歳…、もともと仕事仲間だったので、もっと前から楽屋ですれ違うとか、姿は見ていたかもしれないです。長男が4歳くらいからおつきあいを始めたので、突然知らない人がやってきたわけではなく、時間をかけて少しずつ信頼関係をつくっていきました。

 

長男は夫のことが大好きだと思います。再婚してすぐのころ、私と夫がちょっと揉めたり、嫌な空気になったりすると、「ママごめんね。もう嫌になってない?僕が(パパを)いいと思って結婚してもらってるから、ママ嫌になってない?」って言ってきたことがあって。

 

長男は自分が夫との再婚を決めたと思っていたようで。そんなふうに言ってもらえるなんて、ラッキーという言葉では片づけられないくらい、本当に幸せなことだと思いました。

 

次男を抱き抱える知念さん。笑顔があふれる

── 長男さんが12歳のときに、次男さんが生まれました。現在長男さんが17歳、次男さんが5歳だと思いますが、兄弟の関係性はいかがですか?

 

知念さん:年齢が12歳離れているので、上のお兄ちゃんが幼稚園の送迎も行ってくれますし、幼児教室の付き添いもしてくれます。長男は次男のためになんでもやってくれるんですけど、次男はどちらかというとライバルと感じているというか…。

 

面白いと思ったのは、長男は毎日学校に行くじゃないですか。お稽古ごともあったりして結構忙しいんですよね。すると、次男が2歳くらいのときに、「今日の僕の予定は何?」って。前の晩に私と長男が、明日はどこに行って、この時間に何をしてって予定を確認しているので、自分も何かある。何かしなきゃいけない、人って何かするもんだって思っていて。すごく性格が前のめりで何でもトライする感じ。長男からもいろいろ影響も受けていると思います。

子育て、出産を挟みながら高等学校卒業認定を受験

夏のある日。家族で公園にて

── ところで、仕事に子育てに忙しいなか、高等学校卒業認定試験を受けて合格されたとのこと。勉強しようと思うようなきっかけがあったのでしょうか?

 

知念さん:長男の中学受験ですね。長男にはいつも勉強しなさい、頑張れ頑張れってずっとお尻を叩きながら塾にも入れてたんですけど…。私は中卒で沖縄から出てきちゃったので、大人になってもやっぱり高校に行っておけば良かったなって思っていたんです。

 

当時はデビューも決まっていたししょうがない…そのときできることを頑張ったと思うんですけど、どこかでずっと進学しなかったことに心残りがあったし、その先を学べていないというか。それに母親になってから、たとえば子どもたちの幼稚園、小学校に入るときも親の最終学歴を書かなきゃいけないんです。高校認定を取っても学歴は中卒と書くんですけど、やっぱり自分の人生をやり直したい。自分のなかで抜け落ちてしまった大事なものを回収したいという思いがありましたね。

 

それなら今から勉強してもいいんじゃないかなって。長男が勉強している隣で、私も勉強を始めようと思ったのがきっかけです。

 

── しかし、受験勉強中に出産もあったとか。

 

知念さん:長男が中学1年生のときに次男を出産して、結果的に2回受験することになりました。1回目は出産前、2回目は出産後ですね。1回目の受験で2つ必要な単位を落としたので、2回目の試験で残りの2つを再度受けました。

 

── 出産前後の受験勉強はかなりハードだったのでは?

 

知念さん:出産後は比較的仕事が少し落ち着いていた時期ではあったんですけど。子どもが2時間起きに起きるので、寝ている間は勉強だけに集中したり、時間の使い方は工夫しましたね。

 

── 通信教育だったそうですが、勉強でわからないこととか出てきませんでしたか?

 

知念さん:ありました…!そういうときはYouTubeを見てましたね。数学などで、わからないところが出てきてYouTubeで検索すると、そのあたりを細かく説明してくれる方がいるんですよ。いくつか問題を解いている様子を見ていると、何となく分かっていったというか。YouTubeはすごく助かりましたね。

 

── では、途中で挫折することもなく?

 

知念さん:それ以上にやり直したい気持ちが強かったですね。あと、多分目標があったほうが生きやすい性分もあるかもしれません。今これ、次はこの作品って、何か目標があると頑張れるというか。

 

勉強も仕事もすべてやり直している気がします。でも、それがネガティブな気持ちなわけでは全然なくて、やり直しを繰り返しながら、今までもこれからも変化を楽しめたらいいなと思います。

 

 

PROFILE 知念里奈さん

沖縄県出身。1981年生まれ。歌手、女優。1996年デビュー。舞台『レ・ミゼラブル』などミュージカル俳優としても活動。2児の母。

 

取材・文/松永怜