長男が小学5年生のときに再婚した知念里奈さん。その後、次男の誕生や長男の反抗期を迎え、どのように家族で向き合っていったのでしょうか。

長男が小学校5年生のときに再婚

── 2006年3月に第一子を出産。26歳でシングルマザーになって、2016年に再婚されました。シングルマザー時代は、仕事と子育てはどのように向き合っていましたか?

 

知念さん:子どもともっと一緒にいてあげたい、もっとこうしてあげたいと思っても、まずは仕事をすることが先決でしたね。母が結構な頻度で沖縄から来てくれたので、息子を見てもらうことも多かったです。

 

── 突発的にお仕事が決まることもあるのでしょうか。

 

知念さん:舞台のお仕事が多かったので、比較的スケジュールは組みやすかったですね。稽古の時間はこれくらい、本番はこれくらいって全部時間が決まっていたし、急に遠くに行くようなお仕事もしていなかったので。私が子どもと一緒にいられないときは、母だけでなく、妹や従兄弟が東京の大学に進学したので、いろいろ協力してくれました。妹は一緒に住んでいた時期もあって幼稚園のお迎えを頼んだり、従兄弟にお留守番を頼んだり。家族、親戚には本当に助けられましたね。

 

── 息子さんの様子はいかがでしたか?

 

知念さん:今振り返ると本当にいい子でした。長男が3、4歳のころに仕事場に連れていくと、本を読みながらおとなしく待っていてくれたり、あまりわがままも言われなかったような気もします。

 

家族3人でバトミントン。長男のスマッシュが決まる!

ただ、中学1、2年生のころはやっぱり反抗期もありました。いつか来るだろうと覚悟はしていたんですけど…。物を投げられたり、暴言を吐かれたりするのかと思っていたので、そこまでではなかったけれど、でも戸惑いますよね。それまで可愛くて、小さいころは抱っこしたり、いつも愛しいと思っていた存在が、何を言っても生返事というか、スムーズにコミュニケーションが取れない時期もあって。

 

── 徐々に、コミュニケーションが取りにくくなっていったのでしょうか?

 

知念さん:徐々にですかね。何となく様子が変…なぜか不機嫌とか、行くはずの塾に行ってないとか。たぶん、気づいて欲しくてちょっと悪いことするんですよ。

 

あと、長男が小学5年生のときに再婚して、中学1年生のときに次男が生まれました。長男が3、4歳のころから、夫に会っていたこともあって、長男も再婚をとても喜んでくれたんです。でも、その後私が次男を妊娠して、やっぱり思春期もあるし、ちょっと寂しくなっちゃったり、複雑な気持ちはあったのかもしれません。

夫婦で向き合った長男の反抗期

── 長男さんの反抗期は、どのように向き合いましたか?

 

知念さん:何か問題が起きたときに「あなた、どうしてそんなことするの?」って聞くと、息子がワーって話し出すんです。「俺はこうでこうで、こうなんだ!」って自分の思いを一気に吐き出す感じで。

 

よかったなと思うのは、長男は自分のなかで溜められるタイプじゃなかったので、少し黙ったとしても、結局言わずにはいられないというか。なんでもぶちまけてくれたんですね。息子の話を聞きながら、「これが嫌だったんだ」とか、「これを解決すればいいね」といった会話は成立してましたね。なんで不機嫌なのかわからないまま、長い間押し黙るっていうのがなかったので、そこは解決しやすかったかもしれません。

 

夫とも、怒る役と慰める役で分担しようって決めてました。でも、あまりにもワーって言われると、分担しようって言っていても「今のは聞き捨てならない!」って瞬間もあったりで。そういうときはお互い合図を出して、今は出番じゃないみたいなことを相談しつつ。でもどちらかというと怒っていたのは私かな。

 

ある程度ほったらかしにしつつ、必要なところは手を差し伸べながら向き合って。でもそんな時期も半年くらいで終わったと思います。

 

長男と寛いでいる知念さん

── 今は長男さんが17歳になりました。

 

知念さん:まぁ可愛いですね。連れて歩くと大人に見えるんですけど、でもまだまだ必要とされてるんだなって思うところもあって。部屋とか汚くてどうしようもないなって言いながら、仕方ないなと言いつつもやっぱり可愛いなって思いますね。

 

舞台も観に来てくれますし、まぁまぁ厳しい意見も言われますけど(笑)。なんでも協力的ですね。

 

休みの日も、何も予定がなければ次男と一緒に公園に行ったり、ランチやサイクリングをしたり。最近は以前に比べて2人だけで過ごす時間は減りましたが、長男が習い事をしているので週2くらい車で迎えに行くんです。その30分の時間は2人でゆっくり話せる時間なので、大切にしています。

 

PROFILE 知念里奈さん

沖縄県出身。1981年生まれ。96年シングル「DO-DO FOR ME」で歌手デビュー。舞台『レ・ミゼラブル』などミュージカル俳優としても活動。2児の母。

 

取材・文/松永怜