『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレーのモノマネで人気の桜 稲垣早希さん。今年3月にタイに活動の拠点を移した稲垣さんが語る、現地のアニメ事情とは?(全4回中の2回)
日本のアニメ「配信でリアルタイムで見られる」
── 移住後は、よしもとの「アジア住みます芸人」として活動されているそうですね。
稲垣さん:はい。今は私がやらせてもらっているのは「アジア住みます芸人」で運営しているYouTubeチャンネルがありまして、そこで一緒にロケに行って発信したり。あとは、現地の日本人向けにネタをやったりしています。
── 稲垣さんと言えば、エヴァンゲリオンのネタが有名ですが、現地のアニメ事情はいかがでしょうか?
稲垣さん:アニメ好きな人はすごく多いと思います。昔、「JAPAN EXPO THAILAND」のロケをさせてもらったときに、タイの方の前でアスカのコスプレで「残酷な天使のテーゼ」を歌ったんですけど、すごい盛り上がりでした。
先日も映画館に「クレヨンしんちゃん」を見に行ったんですけど、タイの声優さんがタイ語吹き替えでやってるんですよ。Netflixとか配信を通じて、リアルタイムで今期日本でやってるアニメが普通に見られたりするので、タイのアニメ好きの人と喋っていても、全然日本と同じような話ができますね。
── ヨーロッパよりもアジアのほうがアニメ好きは多いと感じますか?
稲垣さん:どうですかね…。フランスは「JAPAN EXPO」がすごく有名で、日本のメイド喫茶があったり、日本のオタク文化が大好きなヨーロッパの方もたくさんいるので。どっこいどっこいかな、というイメージがあります。
── 世界中どこでもアニメの話ができるのは、とても心強いお話だなと思います。
稲垣さん:そうですね。アニメイトも私の家から電車でちょっと言った先にあるんですよ。
私は日本でいつも「エヴァンゲリオン一番くじ」を引いていたんですが、タイでも1か月遅れとかで引けるらしいので、全然こっちで生きていけるなっていう感じです(笑)。
『鬼滅の刃』や『ONE PIECE』はタイでも大人気
── ゆくゆくは、現地の方の前でもエヴァネタを披露されるのでしょうか?
稲垣さん:そうしたいなと思っています。最近タイ語教室に通い始めたりして、タイ人向けのアニメネタを頑張ってつくっているところです。吉本に頑張って営業をしてもらって、イベントに参加できるようにお願いしているところです。
── タイ人向けのアニメネタは、どんなものを考えているんですか?
稲垣さん:私もまだタイの文化がふんわりとしかわかってないんですけど、例えば『鬼滅の刃』や『ONE PIECE』はこちらでも大人気なので、それをタイで不思議に思ったことに当てはめてやっていこうかなと思っています。
── それは見てみたいです!
稲垣さん:タイ人のオタクの人と話していると、日本のオタクとツボが一緒のような気がするんです。ヨーロッパでも感じたんですが、どこの国でもオタクのテンションや笑い方が一緒なんですよ。
オタクは世界共通やな、と思って嬉しくなりました(笑)。
── 世界中に仲間がいて嬉しいです。海外のオタクも早口で熱っぽく話すんでしょうか?
稲垣さん:いや本当に、熱っぽくアニメのことを話すときは、日本のオタクと雰囲気は同じですね。
── それは通じ合えそうですね。
稲垣さん:本当にそういう面での架け橋になれたら最高やなって思いますね。
タイに限らず、いろんな国に住んでみたい
── 今後、お仕事やプライベートでチャレンジしたいことはありますか?
稲垣さん:まず仕事面ではこっちでもコスプレイベントやサブカルイベントがたくさんあるので、そういうところに出演して、日本との懸け橋になれたらいいなというのが、今の第1目標ですね。
タイ語をもっと勉強して喋れるようになったら、見える世界が変わってくると思うので、タイ人の友達とかもできたり、タイ語でネタをしたり。今までやったことのない仕事が広がると思うので、そこは頑張ってやっていこうかなと思っています。
プライベートに関しては、最低3年は同じ幼稚園に通わせたいなと思っているので、よほどのことがない限り別の場所に移る予定はないんですが、せっかくこういう移住生活を始めたので、今後はタイや東南アジアに限らず、あちこちに住んでみたいな、と。
それこそヨーロッパもあり得るかもしれないですし。今回の移住の経験がいろんなところで役に立つような気はするので、将来はいろんな場所に行ってみたいなっていうのは思います。
── 数年後には別の国にいらっしゃるかもしれないんですね。
稲垣さん:そうですね。フットワーク軽く生きていきたいなとは思っています。
PROFILE 桜 稲垣早希さん
1983年生まれ。『新世紀エヴァンゲリオン』惣流・アスカ・ラングレーのモノマネをベースにした「エヴァ漫才」でブレイク。2023年2月に家族3人でタイに移住し、現地での生活をYouTubeなどで伝えている。
取材・文/市岡ひかり 写真提供/桜 稲垣早希