演歌歌手・水谷千重子としても活動中の友近さん。演歌のなかでの立ち位置や、座長をするまでの下積み時代。さらに仕事とプライベート、結婚観についても聞きました。 

千重子先輩!と乗ってくれる大御所演歌歌手

── 友近さん扮する西尾一男や水谷千重子は、もはや友近さんとは別人と思えるクオリティですね。

 

友近さん:キャラクターを一人歩きさせて、形にすることは得意かもしれないです。

 

友近さんのキャラクター、水谷千重子さん。地方公演を回る

── 水谷千重子さんの名前で、全国でコンサートをしているそうですね。

 

友近さん:はい、水谷千重子は最初から芸能生活40周年と言って出ていったんです。そしたらお客さんもみんな40周年千重子を応援してきましたよって顔で座ってくれて、のっかってくれて、あれはもうお客さん巻き込んでのユニットコントです。

 

そうなると、お客さんたちにもっと水谷千重子を観たいと思われたい。このキャラを独り立ちさせたら、次の展開はああなってこうなってっていう絵が自分のなかで見えたんです。先をイメージして、絶対に面白くさせる自信はあったので、水谷千重子を世に出した翌年には、渋谷公会堂でコンサートをしたいってスタッフに伝えました。

 

はじめは40周年とうたっていましたが、今は「3度目の50周年」ということで舞台に立っています(笑)。

 

── 50周年といえばかなりの大御所感がありますが、水谷千重子さんは演歌界のなかではどのような立ち位置になりますか?演歌枠なのか、芸人枠なのか。立ち位置どうでしょか。

 

友近さん:水谷千重子は大御所の演歌の皆さんのおかげで肉づけされました、五木ひろしさんほどの大御所の方が「千重子先輩!」ってコントにのっかってくださったおかげで、千重子を大御所にしてくださいました(笑)。

 

ただ、演歌の世界は元々厳しいですし、上下関係もやっぱりあります。歌番組が徐々に減っていくなかで、さらにコロナ禍になって演歌の出番も人数もどんどん制限が出ていって。テレビも舞台も限られた枠のなかで水谷千重子をキャスティングするのは違うんちゃうか、みたいな声はあったと思いますしね。想像ですが(笑)、てか、そもそもキャスティングに名前あがらないか!バカ言ってる(笑)。

 

一方で、47都道府県のコンサートやディナーショーも毎年たくさんやらせていただいて、徐々にファンの方も増えてきました。コンサートではファンの方に「元気もらいました」とか言われると涙出るほど嬉しいです。

 

そうしているうちに、水谷千重子の活動を見た明治座さんや博多座さんが、うちで座長公演をやりませんか?って声をかけてくださって。本当にありがたいお話だと思いました。

 

── 水谷千重子さんの舞台では、キャスティングもご自身がされるのですか?

 

友近さん:皆さんと相談しあってやってます!自分が面白いなって思った方に、みずから直接お声がけすることもあります。あの方を呼んだらこんな空気に仕上がるかなとか、あの方とあの方が一緒にやったら間違いなく楽しいものがつくれそうだなぁとか。

 

それと、まだその人の知られざる才能をみんなに知ってほしいなって思いもあるんです。最近だとGENERATIONSの数原龍友くん。去年、ABEMAで2人でコントをしたんですけど、数原くんめちゃくちゃ勘が良かったです!よく、インタビューで最近芸人さんで引っかかる人はいますか?って聞かれるんですけど、パッと名前が出てきたのが数原くん。芸人さんではないですけど(笑)。

好きな人ができたら仕事の影響は?

明るくお話ししてくださった友近さん

── ところで、演歌に芸人にと、常に多忙かと思います。仕事とプライベートは、どのようにバランスをとっていますか?

 

友近さん:仕事から家に帰ったらヨギボーでダラーっとしたり、友達とご飯に行ったり。お休みの日は、旅行も好きなので行きますね。プライベートでいうと、結婚もしたいときにすると思いますよ。昔は仕事とプライベート、仕事と結婚を天秤にかけてた時期もありますけど、今は違いますね。

 

よく、仕事を頑張り過ぎて恋愛が疎かになるって言う人もいるけど、それもないんですよ。彼氏ができればできるほど、面白くなったろう!って思うんです。その人を笑かしたいっていうのが一番なんで。だから彼氏ができたら芸が疎かになるって聞くと、ハァ?って思う。そこ、一緒くたに考えてんのかいって!

 

── 好きな人ができると、さらに芸が磨かれるような。

 

友近さん:私のことを好きになってくれる人って、私の芸やネタが好き、お互い尊敬しあえる人とつきあうことが多いので。お互いが求めているものをずっと高めていきたいですね。とにかく面白いことを一生したいですね。

 

PROFILE 友近さん

愛媛県出身。2000年デビュー。お笑い芸人として活動しながら、女優として舞台やドラマ、映画にも多数出演。2023年6月に明治座、7月から博多座で3度目となる水谷千重子50周年記念公演が決定。

 

取材・文/松永怜