ミュージカル『るろに剣心 京都編』での小池徹平さん
ミュージカル『るろうに剣心 京都編』で

歌手やアイドルとして活躍していた20代は、葛藤を抱えていたという小池徹平さん(37)。30代になり舞台での仕事や結婚で、物事に対するアプローチが変わったそうです。

WaTの解散が大きかった

── 20代前半まであった仕事に対する葛藤は、今も続いていますか?

 

小池さん:ぜんぜんないですね。

 

── どうやって乗り越えましたか?

 

小池さん:いろいろな肩の荷が降りて、力が抜けてきたきっかけは要所要所であります。1つ目はWaTの解散(2015年)というのが、けっこう大きかったです。もちろん自分を育ててくれた大事な仕事だし、アーティストを経験させてもらったことには感謝しています。

 

10代のころからずっとウエンツ(瑛士)とコンビで活動していたのに、いよいよ自分ひとりでやっていくという状況になって。不安はありましたが、いろいろなプレッシャーから自由になったという気持ちも大きかった。

 

愛犬と仲良く

人生は楽しんだもの勝ち

── そのころから、仕事の幅も広がりましたね。

 

小池さん:役者業でもクセのある役が多くなったり、私生活では結婚もしました。仕事でもプライベートでも、ひとりでやることの楽しさ、難しさをいろいろ体験しました。それまではプライベートでも仕事のために、とずっと力んでやっていましたが、家庭も大事にしたいと思ったんです。

 

人生は真面目なだけより、楽しんだもの勝ちじゃないかと。そう気づいたら、いい意味で力が抜ける部分があって。柔軟に自由に、考えられるようになりました。

 

── それは大きな気づきですね。

 

小池さん:力を抜いて余裕をもって仕事をするようにしたら、舞台でも映像でも、もっと楽しめるようになりました。それまでは自分のなかで完璧を求めすぎていたけど、本当の完璧なんてないんだから、そんなことは求めなくていい。今できるベストを尽くせばいい。今までちゃんとやってきたんだから、大丈夫だと思えるようになりました。

 

僕がいいな、カッコいいなと思う人たちって楽しそうで、余裕のある人が多いんです。『ロッキー・ホラー・ショー』で共演した古田新太さん、DA PUMPのISSAさんとか。ああいう、ちょっとやんちゃな兄さんって本当に自由で、憧れる存在。いい影響を受けてますね。

 

絵を描くことは息抜きのひとつの小池徹平さん
絵を描くことは息抜きのひとつ

本当の感情をさらけ出せるように

── 近年、ミュージカルでの評価がとても高いですが、舞台との出会いは大きかったんですね。

 

小池さん:舞台をやるようになって、まず舞台を観ることが好きだということに気づかせてもらったのは、すごく大きいです。歌やダンスなど生身の人が発するものを直に浴びて、こんなに心が揺さぶられるものだと知った。そういうエンターテインメントをすごい人たちと一緒にやらせてもらえるのは刺激になるし、適度な緊張もあって、本当にありがたいですね。

 

そもそも、役者の仕事と出会えたことがよかったと思います。感情を抑えがちだったり、自分の殻にこもりがちだった自分が、役を演じるためにいろいろな立場の人を知るうちに、こんな感情があるんだとか、たくさん心を動かされた。そういうなかで、だんだん本当の感情をさらけ出せるようになった気がします。

 

小池徹平さん

結婚したほうが楽しくて幸せ

── 2018年に結婚した永(はる)夏子さんには、悩みや弱さもさらけ出しますか?

 

小池さん:なんでも隠さずに話しますよ。お互いの状態をわかっていないと協力し合えないので。マネジャーさんにも話しますね。例えば、「この仕事の量はちょっと難しいです」とか、「できない仕事を受けたら申し訳ない」というように。だから、近しい人には、ちゃんと話すようにしています。

 

── いつごろから、そういうふうになりましたか?

 

小池さん:2年くらい前ですね。子どもの成長とともにプライベートでも時間を削られることが増えて、大変になってきたんです。マネジャーさんもすごく理解してくれるから、ありがたいです。

 

── 結婚するときに、決め手となったことはありますか?

 

小池さん:決定的なものは特にありませんが、次の人生プランを考えたときに、結婚したほうが楽しくて幸せなことが多いだろうなというイメージしかありませんでした。ファンの人たちが、祝ってくれるか不安はもちろんありましたが、一緒についてきてくれる人とこれからも楽しいことをしたいという思いで、ひとつの区切りとして決めました。

 

PROFILE 小池徹平さん

1986年、大阪府生まれ。2002年にドラマ『天体観測』で俳優デビュー。’05年、ウエンツ瑛士さんとWaTでメジャーデビュー。’16年、舞台『1789-バスティーユの恋人たち-』『キンキーブーツ』での演技が評価され、第42回菊田一夫演劇賞・演劇賞受賞。’18年に結婚。’19年に長男、’21年に次男が誕生。

写真提供/小池徹平