舞台『ロッキー・ホラー・ショー』での小池徹平さん
舞台『ロッキー・ホラー・ショー』での小池さん

近年では舞台俳優としての活躍が目覚ましい小池徹平さん(37)。アイドルや歌手として輝いていた20代のころは、実はモヤモヤを抱えていたといいます。

ファンミを開催できた!

── 昨年、デビュー20周年を迎えて、今はどんな心境ですか?

 

小池さん:去年は「ザ・20周年イヤー」と言えるくらい怒涛(どとう)の忙しい1年でした。ミュージカル3作品とドラマ『科捜研の女』の撮影をしながら、夏には20周年のファンミーティングも開催しました。節目らしい年にしたかったので、やりたかったことが全部できて、いい形で21年目を迎えられたと思っています。

 

── 怒涛の1年のなかでも、特に印象的だったことは?

 

小池さん:役者の仕事も充実していましたが、ファンミーティングをやれたことがすごく大きかったです。20年走ってきた振り返りをメインとしたファンミをしたんです。僕は上京して間もないころからウエンツ(瑛士)とストリートライブをやっていて、WaTという名前で歌手デビューさせていただきました。アーティストと俳優の二足の草鞋(わらじ)でやってきて、解散してからは俳優メインで活動するようになりました。

 

その道筋をどの時期からファンになってくれた方にもわかるように、みんなにやさしいものを目指して、企画の骨組みから参加しました。

 

セットリストもストリートでいちばん最初に披露した堺正章さんの『さらば恋人』、メジャーデビュー曲の『僕のキモチ』、そのカップリング曲というふうに、写真も交えて振り返っていくという構成にしたんです。

 

ファンの人たちの反応も温かかったし、サプライズで、僕とゆかりのある方々のメッセージVTRが後ろのスクリーンに出て、びっくりしました。ずっとこの人たちに支えられてやってきたんだなと、本当にうれしくて元気をもらいました。

 

今までは「ファンの人たち」という感じでしたが、去年から「仲間」という感覚になりました。それはすごく大きな出来事でした。

 

小池徹平さんのファンミーティングでの様子
ファンミーティングでの様子

イヤなこともたくさんありましたが…

── 私は徹平くんが大阪から上京した日から10年間、雑誌の取材で毎月、インタビューさせてもらいましたが、デビュー当時を振り返って、どんなことを思い出しますか?

 

小池さん:う~ん、ガマンが多かったと思いますね。今は時代も変わって若い俳優も自分の言葉で発信する機会が増えたし、わりと自由がありますが、当時の僕は「これをやってはいけない」「こういうものだから、しょうがない」と思っていたことがすごく多かった気がします。

 

僕の性格的にも、ネガティブなことを口に出すだけで、ワガママだと思われるのではと気にしてしまうところがある。やらなければいけないことも、イヤなこともたくさんありましたが、とにかく一生懸命やっていました。

 

よくガマンしていたなと、今振り返って思う。当時の自分は事務所にも親にも迷惑をかけたくない、心配かけたくないという思いが強くて、すごくガマンしていた学生時代でしたね。

 

── どんなに疲れていても体調が悪くても、そういう素振りさえ見せない。いつも明るく礼儀正しく、グチを言うこともなかったです。

 

小池さん:これでいいんだと言い聞かせているところもありました。ただ「やるしかない!」って。それが当たり前だと受け止めている自分もいました。本当に苦しいものだと思ってなかったのかもしれないし、それ以外の方法を知らなかったんだと思います。

 

ウエンツ瑛士さんと小池徹平さん
ウエンツ瑛士さんと

このままの自分ではダメだ

── 爆発的に人気が出て忙しいなか、たくさんの期待に応えながら本当に頑張っていました。

 

小池さん:バタバタと常に追われているような感じでしたね。ありがたいと思う半面、年を重ねていくにつれて、だんだん流れは変わっていくだろうから、このままの自分ではダメだという思いもありました。もちろんWaTとしての活動は楽しいけれど、アイドルっぽいことをずっとやっていていいのかなという不安や焦りも出てきました。

 

プロの俳優として、アーティストとしてやっていくには実力が伴わないといけない。10代後半から20代前半は、そういうことを自分のなかで整理できずに、ムシャクシャしていた時期でもありました。

 

── そういう思いをウエンツさんと話すことはありましたか?

 

小池さん:それはなかったですね。彼は彼なりに考えていたと思いますが。僕は言葉で言わず行動で表すような気質があるので、とにかく歌も芝居も練習して、上手くなっていくところをみせなければ、とひとりでもがいていました。

 

── 周りがキラキラしたアイドルという目でみているころから、とても冷静だったんですね。

 

小池さん:わりと冷静でしたね、昔から。

 

PROFILE 小池徹平さん

1986年、大阪府生まれ。2002年にドラマ『天体観測』で俳優デビュー。’05年、ウエンツ瑛士さんとWaTでメジャーデビュー。’16年、舞台『1789-バスティーユの恋人たち-』『キンキーブーツ』での演技が評価され、第42回菊田一夫演劇賞・演劇賞受賞。’18年に結婚。’19年に長男、’21年に次男が誕生。

写真提供/小池徹平