「ハッカー役は初めて」と話す加藤清史郎さん。放送中のドラマ『弁護士ソドム』(テレビ東京系 毎週金曜日夜8時より放送)では、主人公・小田切渉(福士蒼汰さん)の幼馴染で、天才ハッカーの八雲カイを演じています。役へのこだわりや撮影現場の様子、留学中に感じた言葉の壁など、お話を聞きました。

 

加藤清史郎さん
モノトーンで大人びたクールな雰囲気の加藤さん

「裏の仲間のファッションリーダー」を自任

──『弁護士ソドム』で演じる八雲カイは、どんなキャラクターですか?

 

加藤さん:福士さんが演じる渉の幼馴染で、天才ハッカーです。山下美月さん演じる三木天音とともに、渉の裏側を支える役どころ。ハッカーを演じるのは初なので、ワクワクしながら撮影に参加しています。

 

かなり服装は派手。ハッカーらしからぬファッションで、ネイルもマットな黒とこだわっているので、僕は勝手に「カイは、裏の仲間のファッションリーダーのつもりでいる」と思っています(笑)。

 

── カイと天音の掛け合いというか、小競り合いが楽しいです(笑)。

 

加藤さん:2人でワチャワチャしていますよね(笑)。

 

天音は変装がすごくて…。撮影が始まって最初の数回は、変装した姿だけで山下さん本人のお顔は見る機会がない状態でした。共演しているんだけど、「山下さんとは会ってない」みたいな(笑)。それくらいすごい変装ですね。

 

── 主演の福士さんとは、今作が初共演だそうですね。

 

加藤さん:撮影の合間にアクションの練習をしたり、歌を歌ったり。とても元気で明るく、座長としてムードをつくっている姿が頼もしいです。

 

── 作品のなかで「ここにも注目してほしい」といったポイントは?

 

加藤さん:アジトがカッコイイんですよ。スタジオではなく、実際に地下で撮影しているんですけど、地下ならではの雰囲気を活かした「組んだセットじゃできない」と感じる空間になっています。そういうところが「ハリウッドっぽい」印象なのも見どころだと思うので、ストーリーとともに楽しんでもらいたいです。

 

「ハッカーっぽくない(笑)」ファッションがカイのトレードマーク/(c)テレビ東京『弁護士ソドム』

英語スキルの維持は「意識せず自然に」

── 3年間イギリスの高校に留学。今作の共演者には、主演の福士さんをはじめ若松まどか役の玄理さん、青柳孝介役の古川雄輝さんなど英語が堪能な方が多い印象です。玄理さんから「福士さんと台本の相談メールや撮影の合間に、英語でやり取りすることもある」とお聞きしましたが、加藤さんも撮影合間に英語で話すことはありますか?

 

加藤さん:僕自身は撮影の合間に、英語で雑談することはないですね。

 

── 語学は使っていないと、とっさに出てこなくなることもありますが、スキルを維持するために、やっていることはないですか?

 

加藤さん:特に意識してやっていることはありません。でも現地のニュースを観たり、スポーツをやるのも観るのも好きなので、現地メディアのスポーツ実況を楽しんだり…。「維持しよう」と考えてやっているというよりも、自然と触れている感じです。

 

── スポーツ観戦など好きなことを通じて、自然に触れているのはいいですね。

 

加藤さん:自分では意識していないので、そういえば電子機器など、デバイスの設定が英語になっていることも、家族に指摘されて気づきました(笑)。

 

加藤清史郎さん
福士さんの現場での姿や「子ども店長」の話で、記者会見を盛り上げていた加藤さん

当初は「言語の壁」にウズウズやモヤモヤも

── 今は触れていることを意識しないほど、自然に英語を使いこなしている加藤さんですが、過去のインタビューでは留学中に演技学校での即興劇の授業で、苦労があったと話していました。

 

加藤さん:僕が初めて言語の壁にぶつかったのが、即興劇のグループワークでした。「みんなでひとつテーマを決めて、どんなものでもいいから発表して」という課題で、打ち合わせ時間は5分。みんな演劇が大好きで、10代だから「大好き!」なことを話す勢いと相まって、すごい早口での話し合いが繰り広げられて…。

 

── そうなってしまうと、もう…(笑)。

 

加藤さん:まだ最初の頃だったので、聞き取るのが大変でした(笑)。

 

加藤清史郎さん
衣装のシルエットのきれいさを活かした立ち姿がカッコイイ

── 言葉の壁があるもどかしさに加え、俳優として長い経験を重ねているだけに、悔しい気持ちもあったかと思います。

 

加藤さん:日本のワークショップやレッスンで「即興劇をやるよ!」ってなったら、自分からもっと率先して意見を出し、スパイスを与える側に回れることもあるんです。だけど言葉の壁があるから、同じようにはできない。

 

みんなが「どこでなにするのか、このセリフのあとには、どう入ってくればいいのか」とアイデアを出し合っていても、そのときの僕は「ただ把握するしかできないのか…」という状態で、無力感を覚えました。それに無力さだけじゃなく、「もっとできるのに」っていうウズウズ、ムズムズ、モヤモヤ…(笑)。そんな気持ちを感じていましたね。

 

加藤清史郎さん

 

PROFILE   加藤清史郎さん

2001年神奈川県出身。俳優。1歳1か月でデビューし、数多くの映画やドラマ、舞台、CMほかで活躍。4月より『弁護士ソドム』(テレビ東京系)に天才ハッカー・八雲カイ役で出演中。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩 ヘアメイク/入江美雪希 スタイリスト/山田莉樹