「母はずっと会社勤めでOLをしていました」と、振り返る光石研さん。放送中のドラマ『弁護士ソドム』(テレビ東京系 毎週金曜日夜8時より放送)をはじめ、多数の映画やドラマ、舞台、CMなど幅広く活躍しています。お母様や奥様への感謝、若い人たちに相談を持ちかける理由、愛犬との生活についてなど、お話を聞きました。
「頭が上がらない」母と妻の存在
── 子ども時代に働いているお母様の姿を見て、感じていたことはありますか?
光石さん:55歳で早期退職するまで、ずっと同じ会社に勤め続けていました。自分の趣味を持つこともしないで、働きながら家事もしてくれて…。本当に頭が上がらないです。
── もうひとり身近なところで、奥様に対しては?
光石さん:今は家のことを全部やってもらっているから、申し訳ないなって思っています。ちょっと仕事の忙しさにかまけて、任せっきりになってしまっていて…。僕の仕事がなかった頃は、ずっと妻が働いて支えてくれていたのでね。母だけでなく妻にも、本当に頭が上がらないです。
── 撮影現場でも、働く女性スタッフは多いかと思います。
光石さん:昔は撮影現場というと男性ばかりで、女性スタッフはいても2人くらいのものでした。力仕事もありますし、男性ばかりが働くような現場で、今では多いとき半分は女性というのも珍しくなくなっています。女性スタッフたちの姿を見ていると、「働く女性はすごくカッコイイ」と思うし、辛抱強いと感じますね。
若い人だけじゃなく30代40代くらいだと、仕事では脂が乗っている時期。働きながら、家事や子育てしている人は、ちゃんとしているなあと思うし、すごく感心します。
若手に「人生相談まで(笑)」する理由
── 過去のインタビューで、後輩や若手の方たちに相談すると話していました。「年齢は関係ない」といった考えですか?
光石さん:年齢は関係ないですね。それに若い人は、新しい情報を取り入れるのが上手いじゃないですか。僕なんかより圧倒的に持っている情報量が多いから、どんどん聞いたほうがいいですよね。
たとえば今、共演しているでんでんさんが、同じ現場にいる玄理さんに音楽のサブスクを設定してもらったと聞いて、「僕も!」ってアプリを入れてもらったら、すごくいい(笑)。移動中も、家でも、好きな音楽が手軽に聴けるようになって楽しいし、日常が豊かになった感じがしますもん。現場だけじゃなく、うちはスタッフも若いですけど、なんでも聞いたり、教えてもらったりしています。
── 年齢を重ねると、なかなか年下に相談したり、教えを乞うたりしにくくなる人もいます。光石さんが今のような考えになった、きっかけみたいなものはあったのでしょうか?
光石さん:きっかけは、特にないです。常識などにとらわれて人やものごとを縦に見るのではなく、横にして見るようにする…という感覚で。自分の仕事ぶりっていうのは、はたから見ないと、わからないってことありますよね。「自分の仕事ぶりは、これで大丈夫なのか?」みたいなことは、なかなか自分からは見えませんし。
だけど仕事について「これで大丈夫か?」と聞いているうちに、人生相談になっちゃうこともあって(笑)。若い人に「こんな考え方で、大丈夫かな?」と、いつの間にか人生の相談をなっていることも…。そんな感じだから、「いや、お前はちゃんと敬語で話せよ」っていうのも、たまにいるんですけどね(笑)。
くつろげる家で愛犬との癒やしの生活
── 普段からおしゃれな光石さんですが、かなり以前のインテリアに関するインタビューを拝見したら、ご自宅の様子も素敵で…。家ですごされる時間を大切にしている印象を持ちました。
光石さん:家はくつろげる場でありたいし、ここ数年の状況もありますからね。休みの日はいろいろ出歩かずに、家で音楽を聴いて、ちょっと美味しいものを食べて…という感じで、ゆっくりしています。
でも自宅の様子は…今は見る影もないですけどね(笑)。犬を飼い始めたら、すっかりワンちゃん中心の生活になってしまって、なかなか自分が思うような部屋にはできなくなりました。
── 犬は以前から、飼おうと思っていたのですか?
光石さん:本当たまたまなんですよ。ペットショップの人と友達になって、その知り合いの方から「生まれる子がいるよ」と情報をいただいた流れで、飼うことになったんです。
── ワンちゃん中心の生活になっているとのことですが、やはり癒やされますか?
光石さん:癒やされますよねえ。
── デレデレしちゃったり?(笑)
光石さん:すっごいデレデレしています。もうハイトーンの赤ちゃん言葉で、ずっと話しかけていますね(笑)。
PROFILE 光石研さん
1961年福岡県出身。俳優として多数の映画やドラマ、舞台、CMほかで活躍。4月より『弁護士ソドム』(テレビ東京系)に曽我一馬役で出演中のほか、主演映画『逃げきれた夢』が6月9日公開予定。
取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩 ヘアメイク/大島千穂 chiho oshima スタイリスト/下山さつき(クジラ)