「大きな弁護士事務所の所長役が、僕に務まるのか心配」と、笑う光石研さん。放送中のドラマ『弁護士ソドム』(テレビ東京系 毎週金曜日夜8時より放送)では、主人公・小田切渉(福士蒼汰さん)が所属する弁護士事務所の代表・曽我一馬を演じています。

 

作品の見どころや役づくりへのスタンス、自虐好きな一面など、お話を聞きました。

 

光石研さん
「心配」と話すけれど、しっかり大手弁護士事務所代表役の風格が漂う光石さん

見どころは福士蒼汰さんの「変貌ぶり」

── 今回ご出演の『弁護士ソドム』では、大手弁護士事務所の代表・曽我一馬を演じます。

 

光石さん:福士さんが演じる渉の恩人で、親代わりとして、温かく包み込んで見守るような役まわりです。渉に加え、玄理さんが演じる若松まどかを招き入れる、大手弁護士事務所の所長でもあります。

 

── 弁護士事務所の所長役ということで、リーガルサスペンスとしての見どころも、たっぷりあるかと思います。

 

光石さん:詐欺の加害者を弁護する渉に対して、まどかとともにヒヤヒヤしています(笑)。毎話、加害者と被害者それぞれがどうなるのか、渉やまどかたちがどうなっていくのか、楽しみにしてもらえれば…。

 

── 主演の福士さんとは、これまでにも共演していますが、どんな印象がありますか?

 

光石さん:3度目の共演ですが、毎回複数の違う顔を見せてくれます。今作では若い時期もご自身で演じていますが、当時の渉と「ソドム」と呼ばれるような悪徳弁護士になる変化。その変貌ぶりが、ドラマの見どころのひとつだと思いますね。

 

光石研さん
記者会見では役の曽我一馬のように、若い共演者たちを温かく見守る笑顔が印象的だった

多彩な役を演じる光石さんのスタンス

── バイプレイヤーだけでなく主演もこなし、多くの作品で幅広い役を演じています。撮影が重なることも多いと思いますが、役づくりはどうされているのですか?

 

光石さん:役づくりは基本的にしません。台本を読めば、もうそれが役づくりという感じで…。なんだか質問をかわしているような答えでなんですけど(笑)、台本通りにやろうとすれば、その役になると思って演じています。

 

── 温厚で優しい人から強面の悪人まで、かなり振り幅が大きいですが、予め決めたりしないで、台本のままを演じる…。

 

光石さん:そうですね。どんなキャラクターなのかは、台本に書かれているし、その通りに演じればいいという考えです。僕自身が役をあれこれするというより、セットや衣装などスタッフのみなさんが一生懸命に準備して、役者を乗せてくれる。

 

今回の『弁護士ソドム』も撮影現場のセットなどをはじめ、スタッフのみなさんが素晴らしいです。出演する僕たちは、そういうもののおかげで自然と役に入っていけるし、モチベーションが上がります。

 

── 共演者のみなさんも、記者会見で「セットがカッコイイ」と話していましたね。

 

光石さん:今回、僕が演じるのは、かなり大きな弁護士事務所の所長さんだから、ちゃんとそう見えるかどうか…本当に心配なんですよ(笑)。でもスタッフさんたちが気合を入れて準備して、ビシッとした衣装も用意してくれたから、威厳のある曽我一馬になるように頑張りますよ!

 

光石研さん
おしゃれに定評がある光石さんだけに、スーツの着こなしがビシッと決まっている

『バイプレイヤーズ』で感じたテレビ東京の柔軟さ

── 光石さんご出演のテレビ東京のドラマといえば、主演作『デザイナー 渋井直人の休日』のほか『バイプレイヤーズ』など、熱いファンが多い印象です。テレビ東京の作品には、どんな印象をお持ちですか?

 

光石さん:そんなに詳しいわけじゃないけど、やっぱり柔軟な社風なのかなあ…という印象はありますね。

 

──『バイプレイヤーズ』ではテレビ東京を揶揄する「テレ東だろ」という光石さんのセリフが、あまりにも話題になって…。当時プロデューサーから、「光石さんが『個人の意見だと思われてないか?』と心配している」とお聞きしました(笑)。

 

光石さん:あのセリフは台本通りです(笑)。みんながあれこれ主演作品を自慢するシーンで、「その番組はテレ東だろ」って揶揄する。そういう自虐的なネタを受け入れて、面白がってOKを出すというのは、柔軟さを感じますよね。

 

僕は個人的に自虐が好きだから、社内でそんなセリフを通せるというのは本当に面白いと思うし、いい雰囲気の会社だなあ…と思います。

 

Instagramではシンプルななかに上質なおしゃれを感じさせる私服姿も

── 自虐がお好きとのことですが、最近の自虐エピソードは?

 

光石さん:さっきも若いスタッフさんたちと話していて、「それはやっぱゲンジンだよね。ゲンジンが好きなやつだよね」って言ったら、みんな「ゲンジンって、なんですか?」ってなったんですよ。

 

伝わらないから調べて送ろうとしたら、「それは玄人(くろうと)じゃないですか!?」ってツッコまれ、すごい大笑いになりました(笑)。「もしかして昔は、ゲンジンって言ったのかもしれないなあ」と、笑われて…そんな感じですよ(笑)。

 

── イジられてますね(笑)。

 

光石さん:なんかそういうの、現場が明るくなりますよね。だって年配者が君臨しているみたいな感じになっても、楽しくないでしょ。みんなが働きながら笑っている、明るい現場っていうのが、本当に一番好きですね。

 

光石研さん

 

PROFILE   光石研さん

1961年福岡県出身。俳優として多数の映画やドラマ、舞台、CMほかで活躍。4月より『弁護士ソドム』(テレビ東京系)に曽我一馬役で出演中のほか、主演映画『逃げきれた夢』が6月9日公開予定。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩 ヘアメイク/大島千穂 chiho oshima スタイリスト/下山さつき(クジラ)