「おかげさまで今、役がついていない状態がないんです」と話す倉科カナさん。ドラマや舞台など多数の作品に出演し、現在放送中のドラマParavi『隣の男はよく食べる』(テレビ東京系 毎週水曜深夜24時30分より放送)では、等身大のヒロイン・大河内麻紀を演じています。プライベートや愛猫の保護猫・雪ちゃんについてなど、お話を聞きました。

 

女優の倉科カナさん
愛らしさと大人の女性の魅力を感じさせる倉科さん。意外にもラブコメは初挑戦だそう

オフがあると不安になる

── 映像作品だけでなく、舞台にも積極的に出演されています。オフの日がないのでは…と思うのですが。

 

倉科さん:オフがあると不安になりますね。お休みがあると、どうすごしたらいいか、わからなくなるタイプです(笑)。

 

── 舞台は稽古を入れると期間も長いですし、映像の仕事が並行していることもあると思います。全然違う役など、切り替えが大変なことはないですか?

 

倉科さん:舞台に関しては、役柄へのアプローチや作品に対しての理解を稽古期間に積み重ねて、舞台に立っているときだけはその役柄。舞台から降りたら、素の自分に戻る感覚があります。

 

ドラマの場合は、時間が不規則だったり、ロケ場所が変わったり。時間や場所で切り替わることがないので、切り替えが難しい面はありますね。ただ、今の仕事が本当に好きなので、切り替わらないのも幸せというか…。地続きな感じが、苦ではないです(笑)。

 

女優の倉科カナさん
エピソードの数々から「仕事が好き!」な気持ちが伝わってくる

「素敵な女優さんが多いから私も頑張らなきゃ」

── オフにやりたいことや、やっていることは?

 

倉科さん:時間があると、ジムやジャイロトニック、ピラティスなどで体を整えたりして、メンテナンスをします。あとは習い事。日本舞踊のお稽古に行ったり、苦手なバレエのレッスンを入れてもらったり…。

 

── それはもうプライベートではなく、仕事の一環では?

 

倉科さん:やりたいことを考えるとつい、「なにかしら演技につなげられるもの」を探してしまうんです(笑)。

 

同年代だけ見ても、素敵な女優さんがたくさんいます。オーディションすら少ない時期があって、「ほかの女優さんたちも頑張っているから、私も頑張らなきゃ!」というのが、ずっと根底にあります。強制されたわけじゃなく、デビュー当時から、そうした日常が楽しいし、幸せに思えるのは、やっぱりこの仕事が好きだからですね。

 

── ストイックに思えるけど、すべてが「好きな仕事」につながっている感じですね。でも「これは仕事には、関係ないな」ということ、ないですか?

 

倉科さん:バイオリンは役がきっかけで習い始めたし、スカッシュも気持ちの動きが鈍くなっていたときに「なにか瞬発的なものをやったほうがいいかも」って…。

 

あ。メダカ!メダカを飼い始めました!(笑)ロケ先で、いろんな種類のきれいなメダカを飼育・販売している、おじいさまと出会って。弟がメダカを飼っていて、“こんな色のメダカはいなかったな…”と電話で確認したら、「買ってほしい」という話になったんです。

 

購入した以外にも、きれいなメダカをたくさん分けてくださいました。それなのに弟から連絡が来て、「メダカは郵送ができないから、お姉ちゃんが飼って」と言い出して…。うちは猫がいるので室内に水槽が置けなくて、ベランダでお世話していますが、元気に育ってくれています。これは完全に、仕事とは関係ありません(笑)。

 

女優の倉科カナさん

もっとワガママにやりたいことを表現したい

── 過去のインタビューで、「30代になってから楽しめるようになった」と話しています。

 

倉科さん:20代は「ああしたい」「もっと、こうなりたい」という欲望が強く、力が入ってしまうところがありました。

 

30代になってからは経験値もできて、自分の力だけでなく「みんなで作っていこうよ」と周囲を頼れるようになって。肩の力が抜けた分、流れに身を任せ、いろんなアプローチができるようになったと感じています。

 

── 経験を積んできたから、流れに身を任せられるだけの「自信が生まれた」というのもあるのでしょうね。

 

倉科さん:やっぱり経験っていうのはすごく自信になるし、いろんな現場を経験できたからこそ、自信が持てるというのはありますね。

 

── マネージャーさんと話し合って目標を決め、取り組んでいるそうですが、30代の目標は?

 

倉科さん:私自身が気を遣ってしまう性格で、マネージャーはずっと見てくれているから「バランスをとるのが、すごく上手。だからこそ、引いてしまうことがある。攻めるときは攻めるけど、基本は周りを見て動くタイプ」と。

 

ありがたいことに最近は主演など「真ん中にいる」のを求められるようになり、だからこそ「もっとワガママに、自分がやりたい表現を出していいんだよ」と言われているのが、密かな課題。舞台ではだいぶできるようになって、ドラマ作品でも少しずつ実践しているところですね。

 

── 今後、チャレンジしたい役や領域はありますか?

 

倉科さん:まだ雑談レベルですが、プロデューサーに「こういう作品がやりたい」と、作品の方向性や原作の提案をするようになりました。

 

ずっと芝居の仕事をしていても、逆に演技以外のことは知らない領域も多くて。今後はドラマの台本制作やキャスティングなど、作品の成り立ちの部分にも携わってみたいです。

 

女優の倉科カナさん

保護猫・雪ちゃんは癒やしの存在

── Instagramに登場する愛猫の「せつ子さん」こと、雪ちゃんはどんな子ですか?

 

倉科さん:乳飲み子から育てたので、すごく甘えん坊です。猫らしい“ツン”なところもありつつ、冬場は寝るときに腕をチョンチョンってして、腕枕を所望してくるとか…めちゃめちゃ癒やされていますね(笑)。

 

Instagramに投稿された、雪ちゃんの姿。好きなビニール袋から、抜け出せなくなっている困惑の表情がたまらん!(倉科さん公式Instagram kanakurashina_officialより)

── 雪ちゃんは保護猫だそうですが、保護猫や保護犬に興味はあるけれど、「譲渡の条件が厳しいのでは」「どこに問い合わせたらいいか、わからない」という声を聞きます。

 

倉科さん:そういう場合は、譲渡会や里親募集の情報が集まるサイトやアプリをチェックしてみるのはどうでしょう?自宅から近いエリアの情報や条件など、調べられると思いますよ。

 

── 以前飼っていらしたエキゾチックショートヘアのハジメくんは、ブリーダーさんから迎えた子だったそうですね。

 

倉科さん:私自身は「保護猫・保護犬じゃなきゃ!」というスタンスではなく、ペットを飼うとき、迎え入れたい犬や猫の種類が明確にあるなら、ブリーダーさんに連絡するのも手段のひとつだと考えています。

 

ニュースなどでブリーダーに悪いイメージを持つ人もいますが、「種を守る」という意義のある仕事です。ちゃんとしたブリーダーさんに出会うには、手間をかけ「きちんとした飼育環境で、育てているか?」確認することも必要。生体販売だと、どんな環境にいた子なのかわからないので、できれば事前に飼育環境を調べて、信頼できるブリーダーさんのもとで生まれた子を迎えられるといいですよね。

 

女優の倉科カナさん

 

PROFILE   倉科カナさん

1987年熊本県出身。2006年より女優として映画やドラマ、舞台、CMなど幅広く活躍。4月12日より放送の『隣の男はよく食べる』(テレビ東京系)に主人公・大河内麻紀役で出演中。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩