2014年の出産を機に静岡に移住した北陽・伊藤さおりさん。「はねるのトびら」で活躍した30代から、40代となった今の生活は。(全5回のうち5回) 

お受験や習い事もガッツリやっていたかもしれない

── 結婚してしばらくは、伊藤さんが東京、旦那さんは静岡と別々に住んでいたそうですが、2014年の出産を機に伊藤さんが静岡に移住されたとのこと。静岡に住むと決まったときは、どう思いましたか?

 

伊藤さん:子育ては自然豊かな場所がいいなと思っていたので、そこはよかったですね。未知の場所に行く不安も特になかったですし。

 

── 静岡に住んで約9年、今の生活はいかがですか?

 

伊藤さん:静岡の三島に住んでいますが、静岡の方は、穏やかで優しい方が多いですね。地元愛が強くて、生まれも育ちも静岡。静岡から出たことがない人も、私の周りにたくさんいます。

 

東京は東京で、情報も多いし、おもしろくて大好きなんです。もし今、東京で子育てをしていたら、子どもの習い事とかお受験も、もうちょっと意識していたのかなぁって思います。でも、静岡は東京ほど選択肢も多くないし、お受験や習い事よりも、時間の流れに身を任せて、のんびり過ごしてる感じですね。

 

── 精神的にもリラックスされているような?

 

伊藤さん:東京にいたときのような、仕事のプレッシャーから解き放たれた感覚はあります。静岡に来てから、海やら山やら、とにかく自然が好きになりました。そこは大きく変わったかも。今までそういった場所に、ほとんど行かずに生きてきた自分が、今は自然とともに生きてる感じ。海も山も、車でちょっと行けば着くんですよ。幼稚園のお友達と近所の公園に行くような感覚で、自然に触れあってましたね。虫も大丈夫になったし。

気になる今のお仕事の状況は

相方の虻川さんとYouTubeの撮影

── ところで、今はどういったお仕事が中心ですか?

 

伊藤さん:静岡県の朝日テレビさんの『とびっきり!しずおか』という場組で、「ぶらチャリ」というコーナーに出させてもらっています。自転車に乗って静岡のいろいろなスポットを紹介するコーナーですね。あと、おぎやはぎさんとの『天才‼︎カンパニー』番組や、北陽のYouTubeの撮影をしたり。いただいたお仕事をちょこちょこやってる感じです。

 

── 仕事と家庭の両立はどうされていますか?

 

伊藤さん:基本的にワンオペなので、できる範囲でやってます。子どもも小学3年生になって、以前ほど手が掛からなくなってきたので、東京のお仕事もやっていきたいなって思います。

 

──「はねるのトびら」で活躍していた30代と、今の日常を比べてどう思いますか?

 

伊藤さん:あの頃は、いつも忙しくて仕事中心の生活…目がギラギラしてましたね。何をやっても、もっと!もっと!ウォンチュー、ウォンチュー!って、ウォンチュー精神が凄かった。手に届かないことばかり追いかけていたような気もします。

 

今は、当時ほど緊張感を強いられる環境にいないからか、自分でも丸くなったのかなぁ。今あることに満足するというか。子どもが「ご飯を食べた」「うんちした」とか、そう言ったことが喜びになる。小さなことでも喜べるのは嬉しいですね。

 

それに、もうすぐ50歳に向かっていますが、歳をとるのも怖くない。歳をとるのも楽しいなって思えるようになりました。若い頃は、若いほうが絶対楽しい…!って思ってたけど、今は今で、子どもができたり、気持ちが安定してるのが大きいんでしょうね。シワがあってもいいし、白髪があっても全然いいかな。

 

── 伊藤さんが白髪染めをするYouTubeもありますね。

 

伊藤さん:そうなんですよ…(笑)。昔だったらもっといろいろ隠していたと思うんです。20代後半の頃は、ノーメイクで人前に出るのも恥ずかしかったし、太ってるのもコンプレックスだったんですが…。今は、あるがままで受け入れられるようになってきた感じはしますね。「10キロ太った」とか、全然言えちゃうし。年齢も恥ずかしくないです。

 

── そう思えるようになったのは、いつ頃からですか?

 

伊藤さん:子どもを産んでからかな。いちいち隠してるのが面白くなくなったのかもしれないです。だから、写真の加工もあんまり好きじゃないし。何かの撮影でも、シワとか白髪とかあっても、そのまま使ってくださいって思います。そのほうが心地良いし、自然だし。まぁ、女性としてどうなのか…(笑)、そこはよくわからないけど、今の自分は居心地がいい気がします。

 

PROFILE 伊藤さおりさん

1974年生まれ、埼玉県出身。北陽のメンバーとして活動。YouTube「北陽チャンネル」や静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」でも活躍中

 

取材・文/松永怜