育児漫画『双子育児、ちょっぴり詰んでます!』。作者のいよかんさんは、会社員時代に双子を妊娠し、コロナ禍で漫画を描き始めたのがきっかけで漫画家としてデビューしました。ほのぼのとした漫画の裏に隠された双子育児の苦労とは。(全2回中の2回)

双子のお風呂は壮絶! 猛ダッシュでシャワー

── 育児は孤独な部分もあると思いますが、いよかんさんの周りには双子のママさんはいますか? 

 

いよかんさん:双子を出産してから地域の双子サークルに参加しているんです。そこでLINEのグループで、近所にいる双子ママさんとどんどん繋がっていきました。そういう繋がりがあると、心強いですね。

 

── 双子の漫画を描いて、周りから反響はありましたか?

 

いよかんさん:実は周りには漫画を描いていることは知らせていないんです。もしママ友に知られて、同級生たちから何か言われたりしたら子どもたちが恥ずかしい思いをするかも…と思って。SNSのフォロワーさんや本を読んでくださった方から感想をいただくのはとても嬉しいです!双子のママ以外からコメントをいただけるのもありがたいです!

 

── 作品を拝見していると、全体的にほのぼのとしたエピソードが多いように思うのですが、実際にあまりイライラされないのでしょうか?

 

いよかんさん:漫画では楽しそうに描いていますが、実際に双子を同時にお風呂に入れるときはすさまじいですよ(笑)。

 

いよかんさんのお風呂の入り方イラスト
双子とのお風呂上がりはいつもクッタクタ…(『双子育児、ちょっぴり詰んでます!』より)

 

双子をお風呂に入れるのって、本当に大変で。うちは1歳すぎまで沐浴用のベビーバスを使って1人ずつ終わらせていました。で、私がシャワーを浴びている間は、双子たちは洗面所で遊ばせて。自分のことは本当に猛ダッシュでしたね。子どもが立てるようになってからは、2人同時にシャワーでジャーっと洗えるようになり、ちょっとラクになりました!

 

── 外出先などで大変なことも多いのでは?

 

いよかんさん:1歳の頃は大変でした。公園に私ひとりで双子を連れていくと、2人とも違う遊具に向かって走り出しちゃったり。1人が滑り台に登って、もう1人がブランコに乗ったときは、「どうすればいいの…」と天を仰ぎました(笑)。それぞれ自由にどこかに行って石を口に入れようとしたりするし、本当に怖かったですね。

 

最近は2人で一緒に遊ぶようになって、慌てなくなりましたけど。それに、もう何をやってもワチャワチャしてしまうので、慣れちゃった感じもありますね。

 

いよかんさん漫画4-1
いよかんさん漫画4-2
いよかんさん漫画4-3
いよかんさん漫画4-4
「みかんを『あけてみて』と言ってプレゼント感出してくるのがズルい(笑)。でも喜んであけちゃいます」(いよかんさん)

 

── 特にツラいと感じることってありますか?

 

いよかんさん:双子が赤ちゃんの頃はやっぱり睡眠時間があまり取れなかったことが一番辛かったです!夜中、2人がちょっとずつ違う時間に泣いてそれぞれあやしたりしていると、それだけで疲れきってしまって。

 

まだ保育園に通っていないので大きな病気はしていないんですが、年末に2人同時に胃腸炎になったときは看病が大変でしたね。

双子コーディネートは意外と難しい

── 双子で良かったと思う瞬間はどんなときですか?

 

いよかんさん:2人で楽しそうに遊んだり、お喋りをしているのを見ると「双子でよかったなあ~」ってすごく思います。いつも2人で楽しそうに笑っているので、私も賑やかな感じを楽しんでいます。

 

── リンクコーデも楽しそうです。

 

いよかんさん:はい、楽しいです(笑)。いつもお揃いなので、出かけ先で服を汚してしまって片方のズボンを変えなきゃ!ってなると、「せっかくお揃いだったのに…」ってちょっと寂しい気持ちになったり。

 

── やっぱり同じ服を2着購入することが多いんですね。

 

いよかんさん:せっかく双子なので、双子らしいお揃いのコーデにしたいと思っていて。でも同じ服を買うのって案外、難しいんです。店舗に行くと、同じサイズの同じ服って意外と揃っていなかったりして。最近はサイズ欠けがなく買い物がしやすいネット通販を頼っています。でも、なんでも2倍かかって大変です…。

 

── ちなみにお子さんの名前も、双子ならではのお揃い感のある名前?

 

いよかんさん:はい。同じ漢字を使って、双子感を出してます(笑)。

周りに気をつかう双子ベビーカー問題

── 以前、元バレーボール日本代表の大山加奈さんが「双子のベビーカーをバスに乗せてもらえなかった」とSNSに投稿し話題となりました。いよかんさんも同じような経験はありますか?

 

いよかんさん:私ひとりでは、まだバスで双子と移動したことはなくて。夫と出かけるときはベビーカーを使わないで一緒に乗車するようにしています。

 

やはり双子のベビーカーって本当に幅を取っちゃうんです。道幅が狭いところも通れなかったりするので、飲食店に行くときも広い店を選ぶしかなかったり。2人で合計25〜26kgの重さを常に押しています。特に坂道はキツいです…!

 

── ベビーカーが使えない場合、双子を抱っこするにも大変では?

 

いよかんさん:2人から「抱っこ!」とせがまれたら、いちおう頑張って抱っこするんですけど…数メートル進むのがやっと。なので、家族で出かけることがほとんどなんですよ。

 

── しかも今、イヤイヤ期と呼ばれる期間ですよね?

 

いよかんさん:去年くらいからさらにイヤイヤ期がひどくなったんです。子どもが動画を見たがって、見せるとすぐに「変えて! 変えて! 」と常にチャンネルを変えさせられたり、「何か食べたい! 」と常に要求してきたり。2人同時だと、それぞれ「自分が自分が!」と要求がヒートアップしてきて、頭が混乱しました。

 

いよかんさん漫画5-1
いよかんさん漫画5-2
いよかんさん漫画5-3
いよかんさん漫画5-4
二人同時にワーッと話されると頭も身体も追いつかなくなるときが…!

 

── そのような育児で大変な状況になったとき、どのようにイライラせず乗り越えていますか?

 

いよかんさん:それが何ていうか…双子って本当にかわいいんですよね。寝る前とかも2人でいつも枕を投げ合って遊んでいる。まるで修学旅行みたいに毎日楽しそうにしているので、そういう姿を見られるから、なんとか乗り越えられているのかなと思います。

 

── 今後、描いてみたい漫画はありますか?

 

いよかんさん:4月から子どもたちが保育園に入園するので、「保育園編」も描けたらいいなって思っています。

 

PROFILE いよかんさん

漫画家。Instagram やブログなどで育児漫画を発表。2019年に双子を出産したのを機に、双子育児に関するイラストや4コマ漫画の執筆を始める。『双子育児、ちょっぴり詰んでます!』(KADOKAWA)が発売中。

 

取材・文/池守りぜね