「僕が生まれた後に働き始めた母はすごく忙しかったと思う」と子ども時代を振り返る福士蒼汰さん。4月28日にスタートするドラマ『弁護士ソドム』(テレビ東京系 毎週金曜日夜8時より放送)では、主人公・小田切渉を演じます。小さいころの記憶や30歳を迎える今の心境について、お話を聞きました。(全2回中の2回)

 

福士蒼汰さん
ときにシリアスな表情も見せながら、優しく紳士的に取材に応じてくれた福士さん

時間は短くても「絶対的な愛情」は感じられる

── 小さいとき、お母さまの働く姿を見ていた思い出はありますか?

 

福士さん:僕には姉が2人いて、母は最初は専業主婦でした。でも僕が生まれるころ、「もう3人目だし、大丈夫だろう」と思ったらしく、仕事を始めたんです。

 

── お姉さま2人と小さい福士さん、3人のお子さんを育てながらお仕事もされていたのでは、かなり忙しかったでしょうね。

 

福士さん:それでも、お昼ごはんを作ってくれる姿とか、すごく愛情を受けた記憶があって。きっと物心つく前のことですけど、忙しかったはずなのに、たくさんの愛情を注がれて育った実感がはっきりあるんです。

 

仕事をしていて時間がなかったからといって、愛情が少なかった…みたいなことは、全然感じなかったんですよね。

 

── 読者にも福士さんのお母さまのように、仕事をしながら家事や育児を頑張っている人が多いです。

 

福士さん:働いていると、時間的な量でいえば、お子さんと接するのは短い時間しかないかもしれません。

 

短いとしても、限られた時間のなかでどう人を愛すかだし、時間じゃなく、母は絶対的な愛情を注いでくれていた──記憶がないくらい小さくても僕自身は感じていたし、読者のみなさんのお子さんもきっと、そうした愛情を感じていると思います。

 

福士蒼汰さん

働く女性の姿を見て感じていること

── 共演者やスタッフなど、一緒に働く女性も多いと思います。

 

福士さん:この仕事は、すごく女性が多いですよね。共演者だけでなく、ヘアメイクやスタイリストの方、AP(アシスタントプロデューサー)さんなど制作スタッフにも女性が多いように感じます。

 

人数としては男女半々くらい。現場によっては女性のほうが多いケースもあって、一般的な職場よりも女性比率は高いかもしれません。

 

── 一緒に働く女性たちをどう感じていますか?

 

福士さん:個人的にではありますが、女性のほうが根性があるのではないかと(笑)。たくましく、かっこいいなと思います。

 

── 相手が女性だから、気をつかうみたいなことはありませんか?

 

福士さん:母親と姉が2人いて、父と僕という、女性のほうが多い家族構成で育ちました。だから女性が多い環境も、女性と仕事をするのも、僕自身は気後れするということはあまりないかもしれないです。

 

福士蒼汰さん

自分に甘く、ほめまくるのがスキルアップのコツ

── 過去のインタビューで「自己能力の向上というのが、僕の趣味」と語り、英語やアクションなど、さまざまなことを身につけています。新しいことにチャレンジし、自分を磨くモチベーションはどう保っていますか?

 

福士さん:モチベーションを保つのが、いちばん大変です(笑)。

 

たとえば英語だったら「これだけ喋れるようになった」とか、「聞き取れるようになった」とか、3か月、半年、1年と長いスパンであれば、実感できると思うんです。でも3か月さえも続かないことって、あるじゃないですか。3日で嫌になっちゃうとか(笑)。

 

── そういうときは、どうしていますか?

 

福士さん:3日続いた自分をほめまくります(笑)。「頑張ってるな…3日も続いたじゃん!これ4日続けたら、すごいよね。1週間続いたら、もうずっと続けられるんじゃない?」みたいに、最大限自分をほめたたえながら、1日ずつ延ばしていきます。

 

── 自分自身を励ますというより、自画自賛して乗せる感じですね。

 

福士さん:そうですね。自分をほめるのが第一で、もうひとつは、「1日1秒でいいから、毎日取り組む」というのが大事です。

 

仮に英語なら「1秒だけやろう」と思ったら、結局5分くらいはやっている(笑)。どうしてもできない日も、「1秒だけでも」と考えたら、その間は関連したことをなにかしらインプットできるので…。それだけで、「1日続けられた」と思っていいです。

 

とにかく自分に甘く、ほめまくりながら、毎日取り組むのがコツですね。

 

福士蒼汰さん
「自分に甘く!」と言いつつ、サボらず続けられるのがすごい

30歳を迎える気持ちと20代で叶えた目標

── 5月に30歳を迎えます。年代が変わることに対して、考えていることはありますか?

 

福士さん:あまり考えていないんです。30歳になることによって、突然変わるものもないですし。昔から「30歳のイメージ」というのを特に考えたことがなくて。

 

自分自身では「考えることでもないかな」と思いますが、ただ周りからの“見られ方”は変わるだろうな…というのはあります。

 

── じゃあ改めて「30代でこれを実現したい!」と、年齢を意識して掲げている目標はない?

 

福士さん:もともと、目標とか夢とかを常に持っているタイプではないのですが、でも20代で、ひとつだけ掲げた目標があって。「海外作品に出たい」という…。

 

── それは実現されましたよね!

 

福士さん:そうなんです!それがめちゃくちゃ嬉しくて!それだけは唯一目標として掲げていて、叶ったのはすごく嬉しかったです。だから30代でももしかしたら、これからなにかひとつ、目標ができるかもしれないですよね。

 

── それは楽しみです。

 

福士さん:もし見つかって、新たな目標が出てきたら、ぜひお話しさせてください!(笑)

 

福士蒼汰さん
新たな目標のご連絡、お待ちしています!

 

PROFILE   福士蒼汰さん

1993年東京都出身。俳優として『仮面ライダーフォーゼ』初主演以降、多くの映画やドラマ、舞台、CMなど幅広く活躍。4月28日より放送『弁護士ソドム』(テレビ東京系)で主人公・小田切渉を演じる。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶 彩