9年間にわたり愛され、先日最終回を迎えたEテレ「ごちそんぐDJ」。2022年12月、番組でおなじみのDJみそしるとMCごはんさんに、第一子が誕生しました!食いしん坊ヒップホッパーのおみそはんは、妊娠中の食べづわりや糖質制限に苦労したそう。妊婦生活での食事の工夫や、妊娠後期を支えた友人・井上涼さんとのエピソードを伺いました。
食べづわり対策で枕元におにぎりを
── 12月にご出産されましたが、妊婦生活はいかがでしたか?
DJみそしるとMCごはんさん:妊娠中は「なってみないとわからない」の連続でした。まず妊娠初期から、こんなに気持ち悪いなんて…って。つわりの時期は、ずっと車酔いをしているような感じが続いていました。
食べづわりもありました。何か口に入れていないと気持ち悪くなること自体は、食べるのが好きだからそれほど苦じゃなかったんですが、朝、起き上がったときの空腹がしんどくて。
対策として、毎晩、明日の自分のためにおにぎりを握って枕元に置いてから寝ていました。目覚めたら枕元をガサゴソやって、横になったままおにぎりを食べて、落ち着いたら起きて。
── その図を想像するとおもしろすぎます。妊娠中、食の好みは変わりましたか?
DJみそしるとMCごはんさん:そういえば、ピクルスとかさっぱりしたものがありがたく感じた気がします。あと妊娠初期、自分が作った料理が全然おいしく感じられなくなって驚きました。夫は「普段通りおいしい」と言っていたのですが…。
それ以来、「これは料理をするなってことだな」と思ってお味噌汁ぐらいしか料理を作らなくなりました。夫が作ってくれたものを食べたり、お店で買って食べたり、これを機に近所の料理屋さんを開拓してみたり。
── お気に入りのお店が見つかったり。
DJみそしるとMCごはんさん:そうなんです。安くて美味しい定食屋さんや、ひっそり営業している本格スパイスカレー屋さん、家庭的な雰囲気ですごく居心地のいいビストロなんかを見つけて。
食べログとかGoogleの口コミがない近所のお店を探して行くようにしていたんですが、楽しかったですね。早めに料理を諦めて良かった。
食いしん坊ヒップホッパー、糖質制限を頑張る
── 以前「子どものときにクリスマスプレゼントでもらった」と話していたほど大好きなイクラも、妊娠中は食べられないですよね。
DJみそしるとMCごはんさん:生ものが食べられないのは悲しかったです。何年か前に自分でイクラの醤油漬けを作れるようになったのですが、作りたいなあ、食べたいなあと思いながら秋をやりすごしました。
インスタグラムで食べ物好きの方や料理家さんをたくさんフォローしているのですが、秋になるとみんな一斉にイクラを作り出すんですよ。イクラで埋まったタイムラインを見て「うう、つらい~」とそっとインスタグラムを閉じて。
近所の押し寿司のお店に行ったときは、かんぴょうまきとか蒸しエビのお寿司とかを食べていました。チーズや生ハム、卵かけご飯が食べられないのもつらかったですね。
── 妊娠中というと体重管理もつきものです。
DJみそしるとMCごはんさん:実は、おいしいものを食べすぎたせいか、妊娠後期には「体重が増えすぎです」と注意を受けてしまいました。赤ちゃんが大きめだったのもあり、「妊娠糖尿病になるおそれがあるので、体重コントロール、特に糖質制限を頑張りましょう」と。
「バランスよく3食食べて、晩は少し糖質を軽めにしましょう。おやつは我慢してガムでも噛んどいてください」なんて言われて…。急きょ食事記録アプリの「あすけん」をダウンロードして、自分の食事記録を細かく管理するようになりました。
── 食いしん坊にはつらい事態に…。
DJみそしるとMCごはんさん:とはいえ、食べられる範囲でおいしいものを探しました。ちょっと奮発して、スープストックトーキョーの冷凍スープのセットを買ったり。
スーパーで見つけたパスコの「低糖質イングリッシュマフィン ブラン」にもハマりました。普通のパンより香ばしくて、カリッと焼くと美味しいんですよ。まあ「朝だからいいか」ってバターとか塗って食べてたんですけど。
あとは、蒸し料理の本を参考に普段の食生活はヘルシーにしていました。ただ、週に1回ぐらいはご褒美として、がっつりカレーに揚げ物を乗っけて食べたりも。食いしん坊ヒップホッパーを名乗っているので、なかなか食べ物の制限は大変でした。
切迫早産を支えてくれた「お涼ちゃん文庫」
── お仕事はどのぐらいされていたのですか?
DJみそしるとMCごはんさん:仕事柄、半年先、1年先の予定を立てる必要がある場合もあるため、1年弱の不妊治療の期間から、こまめに事務所に相談しながらお仕事をしていました。地方のライブやイベントにも出ていましたよ。ただ、妊娠8か月ぐらいのときに切迫早産という診断を受けて入院することになり、早めに産休に入らせてもらいました。
入院は1週間程度で、退院後は臨月まで2か月半近く、自宅でトイレとご飯とシャワー以外は横になる生活を送っていました。こんなこともあるんだとびっくりしました。ただ横になっているだけなのにお腹が減って食べるから、体重管理も大変でしたし…。
でも「これが人生の夏休みってやつか」と割りきって、ひたすら本や漫画、ネットフリックスなどでエンタメを楽しんでいました。
── 印象に残った作品はありましたか?
DJみそしるとMCごはんさん:自宅療養の期間、友達でアーティストの井上涼さんが、自分の本棚から漫画とか本をセレクトして届けてくれて、「お涼ちゃん文庫」って呼んでいたのですがそれが全部おもしろかったです。
特にかわかみじゅんこ先生の『パリパリ伝説』とか、西村ツチカ先生の『北極百貨店のコンシェルジュさん』が印象に残っています。
読み終わったらまた新しいのを、と、毎回10冊ぐらい、計3回も自宅に運んできてくれて。一冊一冊にコメントもつけてくれて、私も張りきって長めの感想をLINEしたりしていました。なかなか人に会ったりもできない時期だったので、友達のありがたみを噛みしめました。すごく救われましたね。
PROFILE DJみそしるとMCごはんさん
「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、トラック、リリック、アートワーク、Music Videoなどを自ら制作し、料理と音楽の新たな楽しみ方を提案する、くいしんぼうヒップホッパー。著書に絵本『みよこ』『となりのおやつ』(ともに神宮館)、『スパゲッティのうた』(はらぺこめがねと共著、あかね書房)、『オムライスッス』(ケロポンズと共著、主婦の友社)がある。
取材・文/有馬ゆえ 写真提供/DJみそしるとMCごはん