仕事に家事に子育てに、日々邁進するイラストレーターの横峰沙弥香さん。自宅が仕事場だからこその楽しみや苦労、仕事を捗らせる工夫などを、ちょっと笑えて癒やされるイラストとともに紹介します。今回のテーマは「キャパオーバー」。無理を重ねた結果、体がいうことを聞かなくなった横峰さん…。どうやって危機を乗り越えたのでしょうか?

「体が動かない」突然の不調に私がとった行動は

やってしまいました。空前絶後のキャパオーバー。

 

ここのところうまいこと肩の力を抜いて自分のペースを守り、そのサイクルが良い塩梅で定着しているような気がしていたんです。

 

しかし足元はゆっくりと確実に壊れ始めていた模様。気がついたときには「目の前のタスクをこなすだけでいっぱいいっぱい」のところまで追い込まれていて、仕事のスケジュールが一気に数件先延ばしになったことでいちどきに納期が重なってしまい、あえなく崩れ落ちました。

 

仕事って生き物みたいなもので、私ひとりのペース配分でうまく進められるなんてことはまずあり得ない。

 

突然のスケジュール変更に首を絞められる可能性まで視野に入れて、心にもスケジュールにも余裕を持っておかなければならなかったのに、そんな初歩的なことすらすっかり頭から抜けてしまっていたのです。

 

そんな状態で綱渡りを続けていた春休み直前、同じ週に入ってしまった幼稚園と小学校の保護者会を乗りきったところで体調を崩し、それでも仕事が休めないのでやむなく徹夜を続けた結果、身体が動かなくなりました。

 

自分でも信じられないことなんだけど、ほんとうに動かない。横になった状態から顔の向きを変えることもできないの。

 

ものすごく気合いを入れてエイヤっと全身に力を入れればなんとか起き上がれるのだけれど、それだけでものすごい疲労感。

 

これはまずい。

 

幸い夫が休みの週だったため私は最終手段を取ることにしました。

 

横峰さん連載イラスト1
横峰さん連載イラスト2
横峰さん連載イラスト3
横峰さん連載イラスト4

子どもたちのことは全て夫に任せ、私はひたすら「浮上するまで沈む」作戦です。眠たくなくても暗い部屋でひたすら横になって身体を休め、動くのは水を飲むときかトイレに行くときだけ。

 

食欲がわいてくればしめたもの。少しずつ栄養をとりつつ、さらにぼーっとしていると、順番にいろいろな欲が湧いてきます。

 

ゲームをしたい、漫画が読みたい、日光を浴びたい、ちゃんとスキンケアをして身なりを整えたい、部屋を片づけたい…それを一つずつゆっくりこなして行って、ようやく「早く仕事がしたい」とか「子どもたちと一緒に遊びに行ってたくさん楽しませたい」っていう少し高度な願いが「欲」として浮かんでくるんですね。

 

そうやって丸2日ほど寝込ませてもらって完全回復することができた訳ですが、今回は少し危なかったと思います。

 

過去に一度しか取ったことのないこの荒療治に頼ることになるほど自分を追い込んでしまったことを反省し、自分のペースだけはしっかり守ろうと心に誓うなどしました。

 

子どもたちにも友達ができてなかなか遊んでくれなくなってきているというのに、丸2日も寝込むなんて悔しいったらありゃしない。

横峰さん連載イラスト5
 

文・イラスト/横峰沙弥香