フリーアナウンサーの中村仁美さん。フジテレビ時代に2人の子どもを出産し、子育てと仕事の両立が始まりました。生放送、予定調和にならない子育てに対し、どのように向き合っていたのでしょうか。(全4回中の3回)
保育園の送り出しは夫の役目も
── 2012年に第一子を出産。1年間の育休を経て仕事に復帰されましたが、いかがでしたか?
中村さん:家族が増えて楽しくなりましたが、毎日時間との戦いでした。
──『ノンストップ!』にて復帰されましたが、朝の準備も大変そうです。
中村さん:子どもって、なかなか行動が読めないんですよね。『ノンストップ!』は週3回出演していましたが、放送がある日は朝5時に起きて、子どものお着替えや食事などすべて用意をしながら、自分の支度もしています。でも、途中で子どもがグズったり、変な時間に起きたと思ったら甘えてきちゃったり…。家を出るタイムリミットまで、毎回大急ぎで準備していました。
── お子さんの保育園の送り出しは、旦那さんがされていたそうですね。役割分担を決めていたのでしょうか?
中村さん:夫にお願いしてやってもらっていましたが、毎日文句言われてました(笑)。彼が文句を言わないわけがない。うちの夫は昭和の生き残りですから。妻が働くのは賛成ですが、自分に皺寄せが来るのは嫌な人なので。まぁ、家ではしっかり子どもたちと遊んでくれていますけど。
── …(笑)。その後、2015年に第2子を出産されて育休を取得された後、3歳と0歳のお子さん2人の子育てをしながら復職されました。さらに忙しくなっていったのでしょうか?
中村さん:朝から髪を振り乱してました。家のことをやって急いで電車に乗ると、自分の肩に、子どもたちの唾とかがついてるんです。そのままどうにか会社に着いて、ホッとするのも束の間。一日仕事をして、今度は仕事が終わった瞬間から、今日の夜ご飯何にしよう。どういう手順で子どもたちを保育園に迎えに行って、どうやって夕食の準備をしようって、会社を出た瞬間から考えていました。
アナウンス室に先輩がいると思わず
── 子どもは、急に体調が悪くなることもありますよね?
中村さん:長男が生まれて、最初の1年は特にありましたね。子どもって急に熱を出すし、そんなときに限って生放送がこれから始まるタイミングとか。
緊急時や、どうしても仕事の調整がつかないときは、私の母親によく来てもらっていました。
ただ、うちは共働きですが、子どもが病気をすると、必ず私が仕事を調整するし、保育園から電話がかかってくるのも、まずは私なんです。保育園の第一連絡先に、私の名前が書いてあるので当然ではあるんですけど。でも、子どもが次の日も発熱したら、やっぱり私が会社を休むんです。まぁ、彼のなかでは自分もいろいろやってるつもりみたいですけど、夫婦で不公平だなって思ってました(笑)。
── 仕事と子育てについて、弱音を吐ける場所はありましたか?
中村さん:先に子育てをしながら働いていたのが、佐々木恭子さんだったんです。常に相談ですよね。朝、恭子さんがアナウンス室にいらっしゃったりすると、「恭子さ〜ん…!」って泣きそうになりながら相談していました。
あと、島田彩夏さんとも仲良しなんです。年に3回くらい、夫にも仕事を調整してもらって、必ず彩夏さんと美味しいお寿司を食べる会をしています。ありがたいことに、同じような環境で働いている方たちが多かったので、その方たちとランチなり、アナウンス室の休憩場所で話をしたりしていましたね。
ママになった、中村仁美と思われて
── 復職後は、仕事に対しての意識は変わりましたか?
中村さん:自分のなかでは結婚して、出産して、復職して、今までの仕事の延長線上のつもりなんです。周りからは、「ママになった、中村仁美」として見られているような感じはしましたが、自分としては今まで通りですね。
── バラエティでは、「鬼嫁」?としてのトークも話題です。
中村さん:もともとバラエティ畑で育って来たので、バラエティに出るのは楽しいです。後から、もう少し良い返しができたんじゃないかと反省することも毎回あるんですけど(笑)。
PROFILE 中村仁美さん
2002年フジテレビに入社。2011年お笑いコンビ「さまぁ~ず」の大竹一樹さんと結婚。3児の子育てをしている。2017年7月フジテレビを退社。現在、テレビ・ラジオ・イベント出演など幅広く活動中。
取材・文/松永怜