大きな骨を握り、大きな肉の塊にがぶりと食らいつく。マンガやアニメでおなじみのシーンに憧れたこと、ありますよね。しかし、現実にはあんな形や大きさの骨がついたお肉なんて、手に入るわけもなく…。そんな夢を叶える、陶器製の「マンガ肉の骨」が発売され、SNSで8.2万いいねが集まり話題となっています。

8.2万いいねのついた話題のツイート。「夢が叶った!」といったコメントが多数寄せられた

瀬戸焼製の「マンガ肉の骨」で理想のマンガ肉を

長さ26cmの「マンガ肉の骨」を制作・販売しているのは、株式会社アクティバルです。販売を知らせる投稿には「これって、あのゲームの肉が再現できる!?」「キャンプで食べて~!」とたくさんのコメントが寄せられました。

 

実は、同社はスマートフォンケースの制作・販売を専門にしている会社。どうしてスマホケースの会社がマンガ肉の骨を?企画を立ち上げた花田さんにお話をお聞きしました。

 

「子どもの頃からアニメやゲームに出てくる大きな骨つき肉にガブリとかぶりつくことが夢だったんです。それで、会社に企画を出す以前から、自分の子どもを楽しませようと、「マンガ肉の骨」を目指して木を削って作ってみたり、粘土で成形したりもしていて。

 

でも、木ではそのまま燃えてしまうし、粘度も耐熱性がなくて。既存の商品も僕の理想と合致するものは見つからなかったんですよね。

 

そんなとき、会社のさらなる成長のために新規企画の募集があり、それはスマホケースに限らないとのことだったので、『マンガ肉の骨』を作りたいと企画を出しました。

 

社内の反応としては『まあ好きににやれば』といった感じで、ダメだともいわれなかったので、進めることにしました(笑)」

100年続く瀬戸焼の窯元と共同制作!

この「マンガ肉の骨」の企画、花田さんが立ち上げてから実際に形になるまでには1年以上かかったそうです。

 

「自宅で個人的に試行錯誤した経験から、理想の形や大きさ、耐熱性を実現させるには、陶器で作るのが良いと判断しました。また、弊社は福岡県にある会社なので、近県にたくさんの窯元があったのも判断理由のひとつです。しかし、条件が難しすぎて、話を聞いてもらえないところがほとんどでしたね。

 

そんななか、100年の歴史を持つ瀬戸焼の老舗の窯元さんがお話を聞いてくださって。僕の要望ひとつひとつに、「難しいかもしれませんが、やってみましょうか」と真剣に向き合って挑戦してくださったんです。そして、窯元さんが蓄積されてきた瀬戸焼の技術を駆使し、探究心をもって試行錯誤してくださった結果、理想の形・大きさ・機能性を兼ね備えた「マンガ肉の骨」が完成しました。瀬戸焼の窯元さんだったからこそ実現した商品です。

 

ちなみに、すべて手作業で制作していて、1本作るのに1か月かかります。通常の陶器は底などには釉薬はかかっていませんが、「マンガ肉の骨」は、食品を巻いて調理するためのものなので、裏面にもコーティングが必要なんです。そのため、2度窯入れをしますし、冷却もゆっくり時間をかけるなど、かなり手間暇をかけています」

がしっと握ってかぶりつける形や大きさにこだわった

花田さんが「マンガ肉の骨」を作るに当たってこだわった点は3つ。「かぶりつける大きさ」「手でがしっと握れる太さ」「マンガに出てくる骨の形」です。

 

「長さはオーブンにギリギリ入るように調節はしましたが、大きさや握りごこちは絶対に譲れないので、社内の「もっと小さくしたら」という声は聞きませんでした(笑)。

 

ちなみに、骨のモデルはコヨーテやレッドフォックスなど、端がハート型に見える動物たちです。リアルすぎず、デフォルメしすぎず、理想の形を目指しました」

お肉が食べられない人は、パンもオススメ!

試作段階から何十回と「マンガ肉の骨」を使った調理をしている花田さんに、オススメの使い方を伺いました。

 

「僕は試作で何十回とマンガ肉を作っているのですが、肉を巻いたり、ミートローフにしたり、中にお米を入れて肉巻きおにぎりのようにしたり、パンを焼いてみたりと、いろいろやってみています。使い方が決まっているわけではないので、ぜひご自身の理想のマンガ肉を作ってください!

 

ちなみに、僕は子どもの友達を家に招いてマンガ肉をふるまうことがあるのですが、そのなかの一人に体質的にお肉を食べられない子がいたんです。だから、その子も一緒に楽しめるようにと、パンでマンガ肉を作りました。だから、お肉にこだわらなくても、お好きな食材で楽しんでいただけたらいいなと思います」

興奮して振り回さないで

その見た目のインパクトに忘れてしまいそうになりますが、あくまでも「マンガ肉の骨」は陶器でできたワレモノ。なので、使い始めは必ず、そして、定期的に「目止め」と呼ばれるお手入れをする必要があるそうです。

 

「目止めとは、米のとぎ汁などのでんぷん質に浸して弱火で煮立てることです。そうすることで、においやひび割れ、シミを防ぐことができるんです。

 

それから、マンガ肉の骨を持つと興奮して振り回したくなると思うんですけど(笑)、ワレモノなので、ていねいに扱ってください。特に急な温度変化には弱いので、食材ではなく骨を直接バーナーであぶったり、使った後に水に浸して急激に冷やしたりなどは避けてください。大切に使っていただければ長く使えます!」

初回の販売は3日で完売!追加販売も準備中

SNSでの大反響がきっかけとなり、初回の販売分はなんと3日で完売!追加販売分も準備を進めているそうです。ただ、大量生産が難しく、気長に待ってほしいと花田さん。

 

「まだ販売してまだ間もないので、どんなふうに使われているのかSNSなどで投稿していただけたら嬉しいですね」

 

みなさんも理想のマンガ肉ライフを過ごしてみてはいかが!?


取材・文/吉井菜子