ニュース原稿なのか、ロケなのか

馬場ももこ

── その後、東京に来た当初は、どういったジャンルのお仕事が多かったのでしょうか?

 

馬場さん:はじめはバラエティーが多かったですね。ひな壇に座って何かコメントをするとか。テレビ金沢時代は、原稿を読んだり、中継先で取材することが多かったんです。東京に来るまで、自分のエピソードトークをすることもほとんどなかったので、ほとんど手探り状態でした。

 

ただ、東京に来てちょっとするとコロナ禍に入ったんです。緊急事態宣言が出て、仕事も一気に消えました。正直、落ち込みました。

 

まぁ、でも落ち込みはしましたが、以前のように月から金まで当たり前のようにお仕事が入っている状態ではないですし、一つひとつのお仕事に一生懸命向き合っていったと思います。

 

── 今は、どういったジャンルのお仕事が多いですか?

 

馬場さん:基本ロケですね。事前にロケの準備をしていくこともありますが、当日まで行き先が知らされないようなお仕事もあります。待ち合わせ場所でスタッフさんと会ったときに「これからフィンランドに行くから」と当日説明されたことも。あと、ドッキリにもよくかかりますよ。何か起きたときの私の反応とか、ちょっとした動きがおかしいのでしょうかね。

 

── アナウンサーの仕事は多岐に渡りますが、ニュースで原稿を読むお仕事もあれば、バラエティやロケに出る方もいますね。ニュース番組への想いはありますか?

 

馬場さん:ニュース原稿を読むのは、大好きなんです。ニュースはアナウンサーとしての命と言いますか。ニュースが読みたくて、アナウンサーを目指しましたし。ニュースを読んだときの凛とした感じとか、相手にちゃんと伝わっているか発音を意識したり、声色を変えるのも好きなんです。

 

ただ、今はニュース番組で原稿を読む仕事が1本もないです。情報番組で、誰かの横に立って、番組を進行するような仕事もないです。バラエティ番組で、自分の願い事を叶えてくださいって言われると、「ニュースが読みたいです!!」って叫んでます。

 

今は、ロケとかバラエティ、ドッキリで、自分のコメントやリアクションを見ることを求めてくださる局が多いのかなって感じはしますね。もちろん、ニュース番組もやってみたいですよ。でも、今はそういう存在ではないんだろうなっていうのは、この2、3年経って思います。

 

── それに対して、辛いと思うことはありますか。

 

馬場さん:ニュースもバラエティ番組も、どっちも好きなんです。ロケも年々楽しくなっていきますし。それに、ジャンルは違っても、アナウンサーとしてお仕事を求められているのは、すごく嬉しいです。フリーになって、こんなにたくさんお仕事をいただけて、自分を必要としてくれる方がいる。それは本当に幸せだと思いますね。

 

ただ、最終的にはいつかニュース番組に出たいと思っています。今は、私がニュース原稿を読んでも、信憑性に欠けると思われそうですし。

 

── この先に向けて、何か準備していることはありますか?

 

馬場さん:なるべくたくさんの経験をして、いつかニュースを読むときに、いろいろお伝えできたらいいなと思います。今は海外に行くお仕事が多いですが、海外で出会った人や出来事も、その都度メモでまとめています。いつでもその情景を話せるようにしておきたいんです。

 

たとえば、海外の横断歩道の模様とか、トイレ事情って国によってもさまざまなんですよ。そういったこともエピソードとして載せられるように、今はいただいているお仕事にしっかり取り組みながら、将来への準備もしているところです。

 

PROFILE 馬場ももこさん

1991年生まれ。新潟県出身。佐渡テレビ、テレビ金沢でアナウンサーとして活躍。2019年4月からセント・フォースに所属し、フリーアナウンサーとして活躍中。

 

取材・文/松永怜 撮影/阿部章仁