保険診療のメリット、デメリットとは

保険診療は「すべての人が標準治療を受けることができる」というシステムですが、不妊治療の場合、特に体外受精・顕微授精においては、回数や期間、実施できる治療内容に制限があることも知っておくべきポイントです。

 

生殖補助医療のうち、保険適用されたもののほか、「先進医療」(保険外の先進的な医療技術として認められたもので、保険診療と組み合わせて実施することができる)として保険診療と併用できるものがありますが、必ずしもその人に合う治療とは限りません。

 

当然、保険の適用範囲内で妊娠できるとは限らず、年齢やその人の体の状態によっては保険内の治療だけでは難しいケースも考えられます。「自由診療」を選択したい人にとっては、全額費用負担がブレーキになる可能性も。この点が不妊治療の保険適用においての難しさと言えます。

 

現在は働く女性が増え、晩婚化も進んでいることから、妊娠率が急激に下がると言われる35歳を超えて妊娠を望むケースも少なくありません。

 

費用はグッと抑えられ、3割負担になった代わりに、保険適用外の治療をひとつでも受けるとすべての治療が10割負担になってしまう混合治療、という点も念頭におかなければなりません。

 

不妊治療を受けている夫婦のイメージ
不妊治療を受けている夫婦のイメージ

「国が保険診療に適用したことで、信頼性は担保できますし、これまで不妊治療に踏みきれなかった人もやってみよう、と前向きに捉えることはできると思います」

 

とはいえ、不妊治療の専門病院は数が限られていること、メリットとデメリットをしっかり理解したうえで、自分にはどの選択肢が合っているのか、見極める必要がありそうです。

 

「医療費が下がったことで治療を受けられる人の裾野が広がったのはいいことだと思います。ただ、安い医療がいいことだ、という概念が広がることに関しては懸念しています。これは、食品などでも同じだと思いますが、いいものにはきちんと価格をつけることが重要です」

 

<メリット>
1.基本的な生殖補助医療が保険適用となり、3割負担になったことで経済的負担が減った
2.不妊治療に踏みきるハードルが低くなった
3.国で認められたことで安心して治療が受けられるようになった

 

<デメリット>
1.1つでも保険診療外の治療を選択するともれなく自由診療扱いとなってしまう
2.体外受精・顕微授精には回数や期間、内容に関しての制限がある
3.最先端治療は保険適用外となるものが多く、助成金制度が廃止されたため、かえって経済的負担が増える場合も