毎年1月には大学入学共通テストがあります。受験生の子をもつ親御さんの方々のなかには、毎日祈るようにすごしている人もいるのではないでしょうか?そんな受験シーズンに、岐阜県では毎年注目を集めているお菓子があります。それは「下剋上鮎」。この焼き菓子について製造元である御菓子司玉井屋本舗(@GekokujoAyu)の白木さんにお話を伺ってきました。

 

「鮎が鵜に下剋上する」というストーリー性のあるお菓子

「明智光秀にインスパイアされた和菓子を作りたい!」

── 飼いならした鵜を使って鮎を捕まえる伝統漁法の鵜飼は、岐阜県では観光として今でも受け継がれています。そんな鵜飼と明智光秀をドッキングさせたユーモラスな『下剋上鮎』は、どのようなきっかけで誕生することになったのでしょうか?

 

白木さん:2019年のNHK大河ドラマで岐阜が出生と言われている明智光秀が主人公になったからです。鵜に呑み込まれ続けてきた鮎が、同郷の偉人で“日本最大の謀反人”とも言われている明智光秀に触発されて下剋上を図る…という鮎ながらも人情味溢れるストーリーを和菓子で描けたらと開発しました。

 

── 明治41年創業の老舗ながら、攻めた斬新な和菓子ですね。開発すると決めた際の反応はいかがでしたか?

 

白木さん:開発当初は、これまでご愛顧いただいているお客様の反応に対する不安や、鵜飼という由緒正しい伝統文化にこのような形で触れることについての反感への懸念もありました。しかし両方とも杞憂に終わり、今ではすっかり定着して岐阜の新しいお土産としての位置を確立しつつあります。

 

── 販売後、どのような嬉しい反響やエピソードがありましたか?

 

白木さん:SNSでこの商品を題材にお客様が遊んでくださったり、有名な漫画家さんが4コマ漫画を書いてくださったり。多くの方に自由な発想でこの商品を基点に遊んでいただいているのが嬉しく、見つけては喜びを感じています。

 

味を褒めていただけることも嬉しいのですが、和菓子という、食することが主な用途である食品が、本来とは異なった用途で楽しんでいただけている事実が、従業員一同大きな支えになっています。