「年だから」と考えず楽しい人生を歩んでいきたい
── しなやかさが加わったのですね!そんなhitomiさんの変化が感じられた曲が『LOVE 2020』。2000年のヒット曲『LOVE 2000』の歌詞を、20年後の等身大の歌詞に変えて、2019年に発表されました。「ニセモノなんか興味はないワ ホンモノだけ見つけたい」という有名なサビが「ニセモノだって愛せたなら ホンモノより輝きだす」に変わり20年の深みを感じました。どういう思いを込めたのでしょうか?
hitomiさん:
世の中で正しいことや正義と言われているものだけがホンモノだと思ってきました。
でも、じつはそうじゃなくて、作り物や世の中的に正解じゃないものでも、その人にとって幸せや喜びをもたらしてくれるのなら、どっちも間違いじゃないし、それもいいよね、という感覚です。
たとえば、ジャンクフードを食べて「美味しいね!」っていうのと、添加物の入っていない体にいいクッキーを食べて「美味しいね」っていうのは、両方の感動がありますよね。
──『LOVE 2020』で勇気をもらった人たちは30代や40代。歌詞の意味が染みる年代になりました。正解はいくつもあっていいし、こだわりに縛られなくていい。なんだか気持ちがラクになります。この1月には単独ライブが開催されます。どんな気持ちで臨みますか?
hitomiさん:
私も年齢的に40歳を超えて50代に向かっていますけれど、「まだまだ頑張っていますよ」という姿を見せることで、同世代の人たちを少しでも元気にできればいいなと思っています。
年齢を重ねると、いろいろなことをあきらめがちになるけれど、あきらめないで楽しむ人生を歩んでいきましょうね、という提案をしていけるような存在になりたいですね。
そのためには私自身がまず何事もあきらめずに、楽しんでいこうと思うし、自然に年齢を重ねながら、前向きに頑張る姿をみせていきたい。
いろいろな生き方や経験を経たいまだからこそ、伝えられることもあるのかなと思っています。
じつは、単独ライブをやるのがちょっと怖くて、躊躇していたんです。
ここ数年、イベントには出ていたので、舞台に立つこと自体に怖さはないのですが、ずっと新曲を出してないので、みんなに忘れられているんじゃないかな、本当に来てくれるかなという不安があって。
経験を積んで背負うものも大きくなっているけれど、それでも歌っているよっていうところを伝えたいし、見ていただきたいです。
いまは子育ての真っ最中で、以前のようにアーティスト活動に時間を割くことがなかなか難しくなっていますが、私にとって、子育てをする自分もアーティストとしての自分もどちらも大切。
歌うことで私も元気になるし、癒やされるので、両方ないとダメみたいです。
PROFILE hitomiさん
1976年生まれ。1994年に18歳でCDデビューし、「CANDY GIRL」や「LOVE 2000」など多数のヒット曲を生む。38歳で現在のご主人と再々婚。2020年7月に44歳で第4子を出産。現在、14歳の長女、8歳、6歳、2歳の男の子のママとして日々奮闘中。2023年1月7日(大阪)、22日(横浜)に単独ライブ「hitomi Billboard Live 2023 "With Love"」を開催。
取材・文/西尾英子 画像提供/Avex