「天気予報で『大気の状態が不安定』と聞いたら、天気が急変する可能性があると思って」と話すくぼてんきさん。気象予報士としてテレビの天気コーナーに出演するほか、防災士の資格を持ち「防災」をテーマにした講演やワークショップを行っています。天気の急変や台風から身を守るにはどう行動すべきか、お話を聞きました(全3回中の3回)。
備えられる天気と備えにくい天気の急変
── 最近は大雪の影響で停電になった地域があり、夏は台風やゲリラ豪雨などの被害もありました。
くぼさん:大雪や台風は天気図などで近づいてくる様子が見え、予想できるため事前に備えることができます。
強風は等圧線が混んでいたり、近くに低気圧があったりすると発生しやすく、気象庁から「強風注意報」が発表されます。落下物などに気をつけるほか、乾燥する今の時期は火の取り扱いにも注意が必要です。
予想できるものは、天気予報で早めに注意を呼びかけています。情報は更新されていくので、チェックしてもらいたいですね。
── 予想が難しく、注意が必要な天気は?
くぼさん:予想が難しいものは多く、季節によって急変しやすい地域もあります。冬だと北陸地方は大気の状態が不安定になりやすく、雪以外に雷や竜巻が起きることも。
夏では、埼玉県では最大でかぼちゃサイズの雹(ひょう)が降ったことがあり、農作物などにも被害が出ました。
また比較的最近ニュースなどで言われるゲリラ豪雨は、正式には「短時間強雨」といい、短い時間に局地的に激しい雨が降り、道路が冠水したり河川が増水したりします。大きな被害が出ることも多く、注意が必要な天気のひとつです。
天気の急変から身を守るため知っておきたいこと
── 予想しにくい天気の急変から身を守るには、どうしたらいいのでしょう?
くぼさん:基本はできるだけ速やかに、建物のなかに避難することです。
雷の場合、遠くで鳴っていても空を見上げて雲があれば、そこでも雷が発生する可能性があります。高い木などからは離れ、なるべく身を低くして、近くの建物に避難してください。
竜巻は発達した積乱雲の下に発生するもので、雲を伴っていないものは「つむじ風」と呼びます。局地的に猛烈な風をもたらすため、発見したらすぐ頑丈な建物のなかに避難する必要があります。
雹やあられも竜巻と同じ積乱雲のなかで発生することが多く、氷の粒が降ってくる現象。直径5mm以上は雹、5mm未満はあられです。埼玉県の例のように大きな雹が当たるとケガをする恐れもありますから、建物に入って被害を避けるようにしてください。
ゲリラ豪雨では河川の増水によって、人が流されることも少なくありません。短時間強雨の名の通り長く降り続くことはないので、安全な場所で雨が落ち着くのを待ちましょう。
── 通学中や外で遊んでいるなど、子どもだけで行動しているときに天気の急変が起きるのが心配です。くぼさんは小学生のお子さん2人の父親ですが、自分で身を守れるよう伝えていることはありますか?
くぼさん:大人にも注意してもらいたいポイントですが、天気の急変の前触れは「黒い雲」「雷の光や音」「冷たい風」です。
子どもたちには空や風を観察して、そうした前触れを察知する力が身を守るために必要だと話しています。危険な天気になったとしても落ち着いて行動できるよう、「逃げて安全な場所に避難すれば怖くない」ことを伝えるのも大事ですね。