「天候で生育状況が左右されやすいため、野菜の価格は天気に影響されるものが多いです」と話すくぼてんきさん。情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)の天気コーナーに木曜・金曜レギュラーとして出演し、楽しく、暮らしに密着した気象情報を解説しています。家計に直結する野菜の価格と天気の関係について、お話を聞きました(全3回中の2回目)。
秋に好天が続き、この冬は白菜がお買い得
── 天候次第で野菜が高値になるときがあるなど、天気は家計に直結する要素が大きいと感じています。この冬、天候の影響を受けている注目の野菜はありますか?
くぼさん:秋に天候が安定していたのが、白菜の生育に適していたそうです。そのため今シーズンは白菜が安くて美味しいらしく、妻からは「鍋が増えます」と予告されています(笑)。
普段はキャベツを使う料理で、キャベツの代わりに白菜を使ったレシピが話題になるなど、この冬は白菜に注目です。
── 逆に高くなる野菜は、あるのでしょうか?
くぼさん:白菜は答えられましたけど、そのほかは…どうなんでしょう?(笑)
情報番組などで、高くなっている野菜と天気の関係を解説するため、「今年はなにが高くなるの?」などと聞かれることが多いのですが、実はすぐに答えられるほど、詳しくはないんです…。
たとえばテレビ番組の場合、取材を担当する方がスーパーなどで「この野菜の値段が上がっている」という話を先に聞いて、その後、産地などの情報を加味して気象情報を調べます。「今この野菜の値段が高い理由は、産地がこの時期に天候が悪かったから」というのは、後からさかのぼっての解説なんです。
産地や野菜の種類も多いですし、収穫から店頭に並ぶまでのタイムラグも異なります。だから気象予報士がリアルタイムに、多くの野菜の値段と天候の関係を把握するのは難しいところがありますね。
天候不順でかなりの高値になる年も
── 産地はたくさんありますし、野菜ごとに適した生育条件も違います。近年はハウス栽培などで季節に関係なく出回る野菜も増えていますから、把握しきれないですよね。
くぼさん:でも台風や大雨、高温や低温が続くと作物の収穫に影響して価格が上がるのは確かで、天気と物価の関係は深いです。
たとえば2021年の夏は雨が多くて日照時間が短く、気温も平年より低い状態で推移。そのため前年と比較して、レタスやミニトマト、小松菜、きゅうりなど夏野菜の価格が一時は1.5~2.5倍と、かなりの高値になりました。
今シーズンは安く買えそうな白菜ですが、2018年の冬は東海地方で低温が続いた影響で、大根や白菜など冬野菜が前の年と比べて2倍だったんです。
── 驚くほど高い時期がすぎて、徐々に価格が落ち着くのも天気の影響なのでしょうか?
くぼさん:産地や栽培方法の違いで出荷時期が変わるので、悪天候の影響を受けなかった地域が収穫時期を迎えて、価格が落ち着くケースもあると思います。
あとは生育期間が短い野菜の場合、天候が改善して収穫量が平年並みに戻ることもありそうです。
ただ天候不順が長く続いたり、産地が限られた作物だったりすると、高値のまま推移する期間が長くなることもあります。たとえば北海道で天候不順が続くと、その年はじゃがいもが平年並みの価格に落ち着くのは、難しくなるかもしれません。
そうなった場合は、もやしや豆苗、かいわれ大根など天候に影響されない野菜や、価格が安定している冷凍野菜を活用して、高値の時期を乗り越えることをおすすめしますね。
エリアによって天候は違いますし、価格に影響するレベルになるとは限りませんが、悪天候や平年並みではない気温が長く続いたとき「野菜が高くなるかも」と考えておくと、価格の変動に敏感に反応できるようになるかもしれません。