体型や代謝、運動量によって必要な塩分量が違う

── 塩は身近な存在ですが、体に必要な理由をきちんと理解できているか自信がありません。詳しく教えていただけますか?

 

青山さん:
生物としての進化で、海で生まれた生物が陸に上がる際、体の中に海と同じ成分を取り込んだといわれています。人間も体液や血液、胎児を母体で育てる羊水も、太古の海と同じ1%前後の塩分濃度です。

 

体に必要な塩分は、食事や飲み物といった口から摂取する方法でしか取り込めず、海に入って皮膚から塩分を吸収するなどはできません。放っておくと汗や排泄などで失われ、体に長くためておけないので、きちんと補給する必要があります。

 

── 熱中症予防では水分だけでなく、塩分も必要なのは一般的にも知られています。最近は夏だけでなく、冬の乾燥する季節にも注意が必要といわれますね。

 

青山さん:
水分だけ摂取すると、体内の塩分濃度を保とうとして水分を排出してしまうので、脱水状態を改善できません。また塩の主成分であるミネラル不足から、足がつるなど体の不調が起きるといわれています。

 

必要な塩分量の目安は諸説ありますし、減塩の推奨では「1日の摂取量を何g以下に」と言われますが、体型や代謝、運動量などによって、人それぞれ必要な塩分量は違います。

 

代謝が低く運動量の少ない人なら、必要な塩分量は少ない。でも代謝の高い子どもや運動量の多い方などは、必要な塩分量が多くなります。同じ人でもあまり動かない日と、たくさん運動をする日とでは、摂取すべき量が違うはずなんです。

 

── 一律に「何g以下」と考えると、実際は不足してしまう可能性があるわけですね。

 

青山さん:
水分を多く摂るときは、塩分の摂取も意識してもらいたいです。特にお茶やコーヒーなどは利尿作用があるため、塩分が排出されてしまいます。

 

今はそうした習慣は減っていますが、お茶うけにおせんべいや塩昆布、漬物、梅干しなどを添えるのは、とても理にかなっていて「昔の人の知恵はすごいなあ」と思いますね。

 

さまざまな形状の塩のイメージ