YouTubeを始めると誹謗中傷の嵐も「メンタルは鋼なんで」

── いまや総再生回数1.4億回、登録者25万人超えの『けっけちゃんねる』ですが、スタート時のまわりの反応は?

 

松浦さん:
2018年の開始時は、“バレリーナ芸人”の個性的なキャラに「新喜劇のときとキャラが違いすぎて、気持ち悪い」「自分のことをウェブで公開するなんて、どうかしてる」とネガティブな反応ばかり。

 

ある意味“誹謗中傷”だらけの反応でしたが、「そのうち時代がついてくる、いまに見てろ」と焦らずかまえていました。

 

その後も批判をうけることがたびたびありましたが、“誹謗中傷”には慣れていますし、鋼のメンタルで乗りきっています。

 

衣装保管会社への取材など、バレエへの理解を深めてもらうための仕事も積極的に行う松浦さん

── 動画数はすでに360本以上。編集も丁寧で、バレエ好きの人たち以外にも人気です。

 

松浦さん:
最初はバレエ経験者など、バレエ好きに向けた内容を中心にしていました。芸能人で「特技はバレエ」と公言する人はたくさんいます。

 

それなら、その人たちと差別化するためにはどうしたらいいのかをとことん考え抜かないと。

 

方向性としてバレエにすべてをかけてきた私が、バレエ愛あふれる動画を作って、まずはバレエ界に納得してもらわねば。

 

努力のかいもあって、いまでは有名バレリーナや元タカラジェンヌに出演していただいたり、バレエコンクールに密着取材できたり。

 

2022年夏、清里シルフィードバレエにキューピッド役で出演。憧れのバレリーナたちと共演

バレエの魅力を伝えるお手伝いができて夢のようです。新喜劇以外の外部への舞台出演の機会も増えました。

 

ある程度バレエ界に受け入れられてからは、バレエを知らない方々も楽しめる動画も制作。

 

最初にバズったのはバレエのお団子ヘア動画で、ヘアメイクに関するものは一般の方々にも好評です。

 

── まったくバレエ経験のないママ友も、松浦さんのヘアメイク動画を観ているそうです。子どもたちが観る機会も多いですが、こころがけていることは?

 

松浦さん:
バレエを習っているお子さんからのメッセージも増えました。そんな子どもたちのイメージや夢を裏切らない内容にしたい。

 

笑いをいれても乱暴な言葉づかいはしない、“恋愛・ネガティブ・ヒステリック”は禁止など、保護者が安心して子どもに見せられるように気をつけています。

 

母と姉に囲まれて、かわいがられて育った松浦さん(中央)

思春期のお子さんたちもいるので、生理について触れたときは保護者から「けっけちゃんが大丈夫って、いろいろ教えてくれたから安心」「生理がきても、ビビりませんでした」など感想をもらいました。

 

私もバレエがイヤになって悩んだ経験をたくさんしてきました。バレエに向き合う子どもたちにそんな時期が来たら、親子で笑いながら観てもらい、続ける力になれたら。

 

PROFILE 松浦景子さん

兵庫県出身。大阪芸術大学 舞踊コース出身。2015年吉本新喜劇入団、全国クラシックバレエコンクール優勝。YouTube『けっけちゃんねる』を運営。2021年に書籍化。バレエブランド展開等多方面で活動。    

 

取材・文/岡本聡子、画像提供/吉本興業株式会社、松浦景子