ふわふわにしたいなら、しっかり混ぜる

「卵は湯せんすると泡立ちやすいというのが一般的に知られていますが、実はこの方法でできた気泡はとても粗いもの。

 

冷たい状態の卵に砂糖を全量加えて泡立てれば、よりキメ細かい気泡ができ、スポンジの仕上がりもふわふわになります」

 

江口さんはミキサーの速度を途中で中速に変えていますが、これにより、キメがより細かい生地が作られるそう。

 

「でき上がりをふわふわにしたいなら、しっかりと混ぜることが肝心です。

 

小麦粉を入れた後は、ハンドミキサーではなくゴムベラで混ぜますが、このときも片方の手でボウルを回しながら何十回も混ぜてください」

 

均一に混ぜるためのプロならではのコツも教えてくださいました。

 

「バターと生クリームを生地に入れるときは、脂分なのでそのまま入れると重くて生地の下に沈んでしまいます。なので、バターと生クリームが混ざった容器に少し生地を入れて、あらかじめ泡立て器で混ぜておく。それをボウルに投入すると沈みません。ゴムベラで混ぜやすく、また、まんべんなく全体に混ざって一石二鳥です」

 

スポンジケーキ作りで一番大切なのは、「オーブンの温度と焼き時間。特にオーブンの予熱が重要」と江口さん。

 

「焼く温度は170度ですが、オーブンの扉を開閉する際に温度が下がることを想定して、予熱は180度に設定しましょう。低い温度で焼くと固まらないので要注意です」

 

簡単にできそうで意外と難しいスポンジケーキ。「なかなか思うように膨らまない」と感じていた人はぜひトライしてみてくださいね。

 

PROFILE 江口和明さん

パティスリー&カフェ デリーモのシェフショコラティエ/パティシエ。東京や大阪など各地に7店舗展開。SNSやレシピ本では「気負わずに作れるお菓子作り」を紹介。近著に『とんでもないお菓子作り』(ワニブックス)。

取材・文/松永加奈 写真提供/江口和明