『地獄の黙示録』も観てない奴が、俳優すんじゃねえ!
── 怒られた記憶ばかりとのことですが、大切にしている言葉のようなものはありますか?
清水さん:
具体的な言葉ではないですが、学んだことのなかに「井筒監督の好きな映画を観る」というのがあります。
分かりやすいところで言うと『ゴッドファーザー』。井筒組から巣立った名監督のひとり、武正晴監督だと『地獄の黙示録』。
カメラワーク、セリフの言い回し、表情の見せ方など、何かにつけて引き合いに出してくるので、作品を観ていないと何を話しているのか分からない。
松尾諭さん原作の『拾われた男』というドラマで「『地獄の黙示録』も観てないやつが、俳優すんじゃねえ!」といったセリフが登場します。
── ありましたね。
清水さん:
あの作品は、武監督の盟友である足立紳さんが手がけた脚本で、松尾さんの原作にも、当時の助監督だった武さんに言われたとの記載があるそうです。
最近だとコンプライアンス的なこともあるだろうけれど、僕らの時代は映画人たちと共通言語を持つことはモノづくりをするうえでとても大切なことだったので、井筒監督の好きな作品は片っ端から観て、ディスカッションしました。
1を聞くと10教えてくれる方なので、本当に楽しかったし勉強になりました。
影響を受けた素敵な言葉も数えきれないくらいあったはずだけど、浮かんでくるのはたくさん話をした光景ですね。