── クリスマスには七面鳥を食べるものだと思っていました。

 

木村さん:
七面鳥を食べるのはアメリカの文化です。アメリカ大陸にイギリスからの移民が最初のころ移住したのですが、七面鳥というのはアメリカ原産で、ヨーロッパにはいません。ですので、アメリカでは貴重だったガチョウの代わりに七面鳥を食べていました。

 

日本では進駐軍の方が七面鳥を食べていたのですが、日本で七面鳥はなかなか手に入りまませんので、代わりに鶏肉を食べたのが日本でクリスマスにチキンを食べるようになった理由です。

 

── クリスマス特有の飲みものはあるのでしょうか。

 

木村さん:
フィンランドで典型的なものは、「グロッギ」というお酒です。ホットワインと訳す方もいますが少し違っていて、ワインをベースにスピリッツなどの強いお酒を入れたり、八角やオレンジピール、シナモンなどを入れたりして煮たものです。

 

飲む直前にレーズンとアーモンドを入れて混ぜていただきます。グロッギのお供に、ジンジャークッキーにブルーチーズを塗ったものなどを組み合わせます。

 

クリスマスのデコレーションが施されたフィンランドの街の様子

── グロッキはお酒ですが、子どもたちはどんなものを飲んでいるのですか。

 

木村さん:
フィンランドではベリーがたくさんとれるので、ベリージュースを飲んだり、ノンアルコールのグロッギを飲んだりします。ノンアルコールのものはお酒を飲まない方でも楽しめます。

 

クリスマスの習慣の起源のひとつに冬至があるのですが、北ヨーロッパではこの時期、太陽が出ている時間が非常に短いです。でも、逆を言えば、これからどんどん太陽の出る時間が長くなるという意味でもあるので、「ここまでよく耐えてきました、春に向けて頑張りましょう」というお祝いでもあります。

 

まずはグロッギで乾杯してから、シャンパンやスパークリングワインなどに切り替えて楽しむのが現代風の楽しみ方です。

 

── 日本ではクリスマスにケーキを食べる方も多いのですが、フィンランドではどうですか。

 

木村さん:
クリスマスに食べるスイーツはいくつかあります。日本のようなデコレーションはされていないのですが、プラムケーキや「ヨウルトルット」というクリスマスパイもあります。これはパイ生地を星形に折って、プルーンのジャムを入れて焼いたものです。

 

プルーンのジャムが入った星型のクリスマスパイ、「ヨウルトルット」

この時期にはシナモンなどハーブやスパイスの風味がついた紅茶やコーヒーなども販売されますので、それと一緒にスイーツをいただきます。