街がクリスマス一色になり、大人も子どももどこかワクワク、心躍る季節がやってきました。クリスマスの準備をする方も多い時期ですが、クリスマスの習慣が作られたヨーロッパでは日本と異なる過ごし方をしているそうです。サンタクロースの故郷、フィンランドのクリスマスについて、フィンランド大使館に勤務する木村さんに伺いました。
チキンを食べるのは日本の文化
── 日本では、クリスマスディナーにチキンを食べる家庭が多いですが、フィンランドでは何を食べるのですか。
木村さん:
チキンを食べるのは日本の文化です。フィンランドでは「ヨウルキンック」というクリスマスハムを食べます。豚肉のハムにパン粉をつけてハーブと一緒にオーブンで焼いたもので、カットしてベリーのジャムをつけて食べます。
あとは、クリスマスイブやクリスマス当日の朝に、ミルク粥を食べる方が多いようです。これはお米に生クリームや牛乳、砂糖を入れて煮た甘いお粥で、シナモンをふりかけたものが一般的です。これはドイツでも食べる習慣があります。
── ハムにミルク粥。まったく食べているものが違いますね。
木村さん:
クリスマスの食事というのはその国の“ハレの日”の食事と密接に関係しているのですが、北ヨーロッパではハレの日に豚肉を食べる習慣があります。もともと、森でどんぐりを食べて育った豚を、秋の収穫祭のときに捕獲し、ハムにして保存食にしていました。家庭によってはジビエも食べます。
今は当たり前のように冷蔵庫などがあっていつでも食べられるのですが、昔はクリスマスに大切な保存食をいただいていたのが由来です。
ちなみに、シャーロック・ホームズのストーリーに、ガチョウに宝石を飲み込ませて盗むという話が出てくるのですが、イギリスではガチョウを食べていました。北ヨーロッパは保存食がメインですが、イギリスは南のほうなので、18〜19世紀にはクリスマス前にガチョウ市が開かれ、生きているガチョウが売られていたそうです。