遺影に故人の好きなものをあしらう
── 最近、ワークショップのテーマに加わったのが、遺影のフォトフレームだそうですね。
布施さん:
手元供養の形として、遺骨を加工して人工ダイヤモンドにする。
今、私が手掛けているのは、細かく粉骨したお骨を小瓶に入れ、遺影のフォトフレームにセットするもの。フォトフレームであれば、お部屋に飾れますし、インテリアにも馴染みやすいですよね。
── 確かにフォトフレームなら身近に置きやすく、家族写真などと一緒に並べるイメージもできます。遺影が「亡くなった」象徴ではなく、生きている家族に囲まれる形にもなりますね。
布施さん:
最初からデザイン性のあるフォトフレームを選ぶだけでなく、シンプルなフレームに故人が好きなものをあしらうのも、その人らしさが出ていいと思います。
フォトフレームの自作がグリーフケアにも
── 実家に帰省した際、おじいさまとおばあさまの遺影に手を加えたら、すごく印象が変わったとか。
布施さん:
実家の仏壇が父方のもので、母方の祖父母は遺影だけ。私にとって祖父母であることは変わりないのに、仏壇に飾られる遺影と、タンスの上に置かれている遺影の差に違和感がありました。
でも同じ仏壇に入れるのは難しいので、母方の祖父と祖母、それぞれ別々に入っていた額から出し、ひとつのフレームに納めて、母親と話しながらお花をあしらってみたんです。同じ写真なのに、とても柔らかな雰囲気になって。「何でもっと早く、こうしてあげなかったんだろう」と思いました。
── いわゆる遺影写真でも、フレームのデザインやあしらいを工夫するだけで、目にした人の気持ちも変わりますね。
布施さん:
その人が好きな色のフレームを選んだり、好きなアイテムをあしらったり…。そういう作業をするなかで、少しずつ喪失感が癒される、グリーフケアの効果もあるようです。
仮に額がシンプルなら、故人の好きな花で装飾する。生花は扱いが大変なので、造花やドライフラワー、きれいなシールでもいいかもしれません。簡単に貼るだけでも、気持ちのこもったオリジナルの遺影になると思います。気軽に「デコってみる」くらいの感覚で試してみると、新しい弔いの形が見えてくるのではと思います。
取材・文・撮影/鍬田美穂 写真提供/布施美佳子