活動を受けてあとを継いだ人も

── 活動していて良かったなと思うのは、どんなときですか。

 

宮治さん:
実際にどれだけの方が私たちの活動で就農したかは、統計のとりようがなくてわからないのです。

 

ただ、私は全国各地で農業経営に関する講演をしてきたのですが、そこで「宮治さんの本を読んで、実家を継ぐことに決めました」とか声をかけてもらうことがあります。それは嬉しいですね。

 

── 農家のこせがれネットワークは今どれほどの規模なのでしょうか。また、日本の就農にどんな影響を与えていると思いますか。

 

宮治さん:
正直、メンバーを数えているわけではないので、どれぐらいの参加者がいるとは言えませんが、「1回でも会えば仲間」と思っています(笑)。

 

設立当初、本当に多くの方やメディアに注目して頂き、日本の農業ブームの火付け役になれたんじゃないかと自負しています。

 

農家の「こせがれ」、二代目は重要な存在ですが、農水省はかつて、新規就農者の支援政策が多かったと言えると思います。

 

私たちのさまざまな活動などを通して、農家の二代目の就農を増やそうという気運が高まり、二代目への支援策も増えたんじゃないかと思っています。

 

宮治さんの農家で行っているバーベキューの様子

── これからの課題、展望を教えてください。

 

宮治さん:
今は農業にとどまらず、全ての業界業種の事業承継の課題に取り組んでいます。「家業イノベーション・ラボ」という活動で、5年ほど前から農家に限らず、家業を継ぎたい人の相談に乗るなど支援しています。

 

これからますます、グローバル化が進むなか、小規模事業者の経営環境は厳しくなると思います。日本ならではの「いいもの」が失われる可能性が高くなると思っていて、そこに待ったをかけられるのは、家業の後継者、二代目なのではないかと思っています。これからも、家業の後継者が活躍できる環境づくりを続けたいと思っています。

 

宮治さんの豚舎の様子

取材・文/天野佳代子 写真提供/宮治勇輔