昨年、生誕80周年を迎え、世界中の子どもたちから愛されている「おさるのジョージ」。長年、絵本の翻訳を担当している福本友美子さんに、「おさるのジョージ」の魅力についてお話を伺いました。

出版社にみずから持ちかけた 思い入れのある作品

── 福本さんは1999年から、絵本『おさるのジョージ』シリーズの翻訳をされているそうですね。

 

福本さん:
「おさるのジョージ」の絵本は、今から80年以上も前の1941年に『ひとまねこざる』が出版されて、私が子どもの頃から日本でも愛読されていました。

 

「おさるのジョージ」の可愛らしいイラストが描かれたTシャツ姿で講演をする翻訳者の福本さん

私が1999年から翻訳を始めたものは、原作のお話を元にして、イメージを壊さないようにしながら後の人が新しく作ったシリーズなんです。

 

この絵本がアメリカで出されているのを知ったときは、「こういうものが出ているんだ!」と楽しく読みながらも、「世界中で愛されている作品を元にして作るのはどうなのかな」とも正直、思ったんです。

 

ところがよくよく調べてみると、原作者のH.A.レイとマーガレット・レイはご夫婦なのですが、夫のH.A.レイが亡くなった後に奥さんのマーガレット・レイは、「ジョージがいつまでも世界中の人たちに愛されるように」と、アニメーションやグッズの制作に力を入れていたと知りました。

 

現代の子どもたちにも親しんでもらうことで、おさるのジョージをずっと残すことができるので、作者の方にこういう気持ちがあるなら、「ぜひ日本の子どもたちにも」と思って、当時、面識のあった岩波書店の方にお見せしたことから始まりました。

 

── 福本さんがご自身で持ちかけた企画だったのですね!

 

福本さん:
そうなんです。初回は8冊を同時に出版したので、私の恩師でもある渡辺茂男先生にも翻訳をお願いして4冊ずつ翻訳しました。先生が亡くなられてからは私だけで担当して、今ではもう34冊にもなります。

 

福本さんが初めて『おさるのジョージ』の翻訳を担当した4冊