かつては洗濯機を持っていない単身者らが利用するイメージが強かったコインランドリー。しかし、現在は共働き世帯の増加により、ファミリー層の利用が増えているようです。第4回国際コインランドリーEXPO2019で最優秀賞を受賞した兵庫県高砂市にある「ハルランドリー」は、ヘアサロンとコインランドリーそしてカフェを併設したことで、地域の方が集まる交流の場になっています。併設した経緯や、地域における役割について店主の濱田健太さんにお話を伺いました。

 

ランドリーの前に笑顔で立つ濱田さん

きっかけはスタッフが働きやすい職場にしたいという想い

 ──「美容室ヘアサロンハル」の特徴について教えてください。

 

濱田さん:
はい。赤ちゃんからお年寄りまで多世代が来る美容室というところがいちばんの特徴だと思います。亡くなった祖母の代から70年以上、この地域で美容室を続けていて、僕で三代目です。

 

創業時から通い続けてくださっているお客様は現在70歳や80歳になっていて、今ではそのお客様のお子さんやお孫さんも通ってくださっています。

 

70年のなかでお客様の家族構成が変わっていった結果、幅広い年齢の方が集まる美容室になっていますね。

 

ヘアサロンハルの外観

──「ヘアサロンハル」にランドリーを併設したきっかけを教えてください。

 

濱田さん:
地域で美容室を長く続けていると、たとえば高校のときにこの美容室でアルバイトをしていた子が卒業後に都会に行き、さまざまな美容室で経験を積んだ後に、結婚を機に地元に帰ってくる、ということがあるんです。この美容室もそういった地元に帰ってきたママの美容師さんがたくさんいます。

 

スタッフにママの美容師が増え始めたとき、どうサポートするかと考えたらやっぱり家事かなと。「洗濯」という家事を仕事をしている間に終えられたら、ラクなんじゃないかと考えたことがランドリーを併設したきっかけです。

 

── お客様の要望ではなく、スタッフがどうしたらもっと働きやすくなるかということが先だったんですね。

 

濱田さん:
そうですね。ママの美容師たちは家のことも忙しくて、夕方4時ごろに帰る方が多いんです。そこで、もし帰宅後にやらなくていい家事があれば、もう少し長く働いてもらえるのかなと考えました。女性が働きやすい職場になることで、求人募集への応募も増えるかなと期待もありました。

 

もともとはスタッフルームに洗濯機と乾燥機を置けばいいだろうと思っていたんですが、スタッフと話しているときに「お客様も主婦の方が多いよね」という話になり、それならお客様や地域の方が使えるコインランドリーを併設したらどうだろうとなったんです。