「親の睡眠も大事」寝かしつけは我慢することじゃない

── 愛波さんは、これまでにどれくらいの相談を受けてきましたか?

 

愛波さん:
個別相談のほか、コミュニティでの相談なども合わせると、1万人を超えていると思います。

 

アメリカと日本では生活スタイルが違うこともあり、科学的根拠に基づいた理論をベースにしながらも、日本の育児文化や住宅環境、私自身の経験や失敗も含めて解決策を提案しています。

 

子どもの睡眠トラブルで憔悴しているママたちが、アドバイスを実践されて日に日に笑顔を取り戻していく様子を見るのは、本当にやりがいを感じます。

 

日本時間に合わせてコンサルティングや講義を行い、帰国時は講演会も行う

── 感謝の声がある一方で、日本では疑問視される声もあったそうですね。

 

愛波さん:
「日本は添い寝文化だからねんねトレーニングは必要ない」とか、「赤ちゃんをひとりで寝かせるなんてかわいそう」などの批判もたくさん受けました。

 

添い寝や抱っこですんなり寝てくれる赤ちゃんや、寝かしつけを楽しんでいるママ・パパならばいいのですが、かつての私がそうだったように、苦しんでいる方もたくさんいらっしゃいます。

 

日本には「育児中は親の寝不足と疲労の蓄積はしかたがない」という風潮がまだあると感じます。

 

しかし、睡眠不足はストレス、精神不安定、過食など、さまざまなトラブルのもとです。

 

日本人女性は、世界主要国のなかで最も睡眠時間が短いという調査結果もあります。ママ・パパたちの睡眠も、子どもの睡眠と同じくらい大切にしてほしいです。

 

子どもの睡眠環境を整えながら、忙しいママ・パパに自分の自由な時間や睡眠時間を確保して、親子でハッピーな生活を送ってほしい。

 

そのために、これからも乳幼児睡眠コンサルタントとして積極的に活動していきます。

 

PROFILE 愛波文(あいば・あや)さん

乳幼児睡眠コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、外資系企業勤務を経て、2012年に長男を出産。夜泣きや子育てに悩んだことから乳幼児の睡眠科学の勉強を始め、2014年に米国IPHI公認資格を日本人で初めて取得。現在は2児の子育てをしながら、子供の睡眠に関するコンサルティングや講演・執筆など幅広く活動中。著書に『ママと赤ちゃんのぐっすり本』など。


取材・文/大浦綾子 画像提供/愛波文