板書だけではない!「学び合い」授業の中身

日本の公教育では教師が教壇に立ち、クラスの子どもたちに対して授業を行う「一斉授業」が主流。

 

子どもたちは机が整列した教室で前を向き、黙って板書をするのが一般的です。

 

しかし、先生の話を聞くだけの一方的な授業方法では子どもたちは思考していないと、田畑校長はいいます。

 

「学校で学ぶメリットは多くの友だちの意見を聞いて、話し合って、自分の考えの幅を広げられることです。

 

板書をするだけなら家でもできるので、新方小では、友だち同士で話し合い思考を深められる、学び合いの授業を実践しています。

 

あるテーマや課題に沿って、クラス全員で考えを出し合い、出た意見をいくつかのグループに分けます。

 

グルーピングした意見に対し、賛成か違う意見かなど、一人ひとりがハンドサインで立場を表し、意見を建設的につなげながら整理していきます。

 

発言するときは、まず立場を明確化し、主張の根拠や理由に基づいて発表してもらうのがポイントです。

 

その際、ただ話し合うだけではなく、友だちの意見や自分の考えをノートにメモしていきます。授業中ボーッとしている暇なんてありません(笑)。

 

この授業では、他人の意見に耳を傾ける習慣や、自分の考えを言語化する力が身につきます。さらに、それらを文字に起こす過程で、思考がより一層深まっていく。

 

先生の話をただ書き写したり話し合いしたりするだけでは、深い学びにはつながりませんから」

 

学力テストで全国平均を大きく上回る成果を出したのは、最初に「意見をつなぐ学び合い」の授業を実践した6年生でした。とくに国語の「書くこと」の領域では、全国平均正答率を二桁も上回ったそう。

 

主体的に学ぶようになったことで授業の理解度も深まり、学力全体の底上げにつながったのです。

 

「学力テストでは、授業改善の成果が十二分に出たと思います。クラス全体が話しやすい環境になったこと。

 

そして、友だち同士で話し合ったことを自分の言葉でまとめる作業を継続したことが、今回の結果につながったのだと分析しています」

 

大きな教育効果を実感した田畑校長は、これを他学年にも広げようと学び合いの授業の「共有」をスタート。

 

6年生が学び合いの授業を体育館で実施し、それを下級生たちが囲むように見学します。

 

「“学び合い”とはどのような授業か」「6年生がどんな話し合いをしているのか」を実際に見てから、下級生も実践。活発に意見が飛び交う授業は、こうして全校に派生していきました。