「我が家は厳しい部活動なんです」

── 豊崎さんがキャリアを重ねていくうえでも夫婦の強いパートナーシップを築いていくことは大切かと思います。どんな関係性でありたいという理想はありますか?

 

豊崎さん:
あまり改めて考えたことはないのですが、家のなかが「部活みたいだね」っていう話をいつもしていますね。

 

夫はとても"部活っ子”だったんです。ずっと野球部に所属していた人で、私もずっと吹奏楽部にいて、お互いにとても厳しい部活動をしてきました。何時に誰が何をするかがきっちり決まっていて、自分のワガママはいっさい許されない、みたいな部活だったのですが、今の生活がとてもそれに似ていると思っていて。

 

ひとりだったら自分の起きた時間が「朝」ですけれど、やっぱりチームで生活していると、朝のほうからやってくるじゃないですか(笑)。起床時間も決まっているし、起きたらすぐに動き出さなきゃいけない。

 

特にあれやってと言い合うこともなく、朝は私が子どもを保育園に連れて行くので、私はできるだけ自分の支度をする。その間、夫は朝ごはんを準備したり、子どもを着替えさせたりするという流れが決まっているので、部活のように黙々とやるべきことがスタートしていくんです。

 

まるで寮生活のようですけれど、お互いにそんな部活を楽しんでいたので、今も問題なく楽しめているのはとてもいいことだなと思います。

 

── 部活動とはとてもユニークな表現ですね!子どもたちにとってどんな親でありたいという理想像もあるのでしょうか?

 

豊崎さん:
理想の母親像はないんです。現実とのギャップにショックを受けると思うので、あまりそういうものは持たないようにしています。本当は怒らないお母さんでありたいと思いつつ、毎日のように「早くパンツ履いて!」って言っていますし、全然実現できていません。

 

子どもたちに働いている姿を見せたいという気持ちも多少はありますが、それよりも子育てで出会うことが面白すぎて、「誰かに言いたい!」という気持ちで仕事を続けている感じがします。子どもたちから毎日のように刺激を受けていますね。

 

── 出産や子育てを通じて仕事への向き合い方や価値観にも変化は生まれたのでしょうか?

 

豊崎さん:
子どもを生んだことで、母として一つの"等身大の目線”が増えたというのは、仕事をする上でも強みになったなと思います。

 

大阪ではコメンテーターとしての仕事をいただくことも多いのですが、子どもに関する話題はもちろん、世界の食糧危機や戦争などのニュースが議題に挙がったときも、今までとは違う視点を持てているのかなと。

 

子育てをしているからこそ注目していただける面もあるだろうし、ある意味で仕事と育児を切り離す必要がないのかなとも思っていて、とてもいいバランスが保てているなって感じています。

 

PROFILE 豊崎由里絵さん

1988年生まれ。兵庫県明石市出身。2013年、MBS(毎日放送)に入社。「痛快!明石家電視台」「プレバト!!」のアシスタントなどを担当し、2019年に退社。2020年からアミューズに所属し、現在はタレント、フリーアナウンサーとして活動。自身のYouTubeチャンネル「とよチャンネル」では男の子ふたりの育児について発信している。


取材・文/荘司結有 撮影/CHANTO WEB NEWS 写真提供/豊崎由里絵