「長年運転していないと自分の世界に入ってしまう方が多いです」。一度は免許を取得したものの、その後運転する機会がなく、運転免許証は身分証明書として使うだけ。いわゆるペーパードライバーとなってしまった方が再び運転を始める際に、注意すべきことは何か──。指導歴20年で、これまで5000人以上のペーパードライバーの運転指導をしてきた東京ペーパードライバー教習所の佐藤さんにお話を伺いました。

ブランクは10年以上 ペーパードライバーの実情

── どのような理由でペーパードライバー講習を受ける方が多いのでしょうか。

 

佐藤さん:
運転免許は高校や大学を卒業する時に取得する方が多いです。しかし、その後の職場環境や生活スタイルにより、運転する必要がなくなる場合も。結果、ペーパードライバーになってしまう方が多くいらっしゃいます。

 

脱ペーパードライバーの運転のコツを5000人以上を指導してきたプロ教官の教えとは

弊社のペーパードライバー講習を受講するのは圧倒的に女性が多いのですが、30〜40代の子育て中の方は、子どもの習い事の送迎で必要になったとか、50〜60代の方は親の介護で運転しなくてはならなくなったという理由が聞かれます。

 

10年以上運転していない方がほとんどで、「そんな私が運転して交通事故でも起こしたらどうしよう。でも生活に不便があるから運転したい」という理由で受講されています。

 

初心者マークをつけていれば、うしろの車も気をつけてくれますが、初心者マークは法律上、免許取得1年で剥がさなくてはなりません。

 

ペーパードライバー歴がどんなに長くても初心者マークはつけられませんので、他の運転手にベテランなのかペーパーなのか知らせることはできません。運転を再スタートする際は、運転技術のポイントを抑える必要があると思います。

 

あとは、「最初は夫に教えてもらおうとしたけれど、やっぱり来ました」という方が本当に多いです。

 

結局、夫婦喧嘩になってしまうそうです。夫の職業がタクシーの運転手などの方もいますが、自分が上手いことと教えることはまったく違うようですね。

 

── 長年運転をしていなかったペーパードライバーの方が共通して陥りやすい運転技術のミスはなんでしょうか。

 

佐藤さん:
車両間隔や車幅間隔が把握できていない方が大半です。自動車学校で運転していた車とマイカーは違いますし、それも何年の前のこととなると、車の内輪差についてもいきなり把握するのは難しいです。

 

もともと上手な方もいらっしゃいますが、ペーパー歴が長い女性の方はなかなかつかみにくい人が多いです。

 

接触事故にも繋がってしまうので、自己判断で「このくらいだろう」と思い込むのではなく、運転席からの見え方で、こう見えるときの左右幅はこのくらい、後方はこのくらい開いているということを具体的に指導します。

 

車をお持ちでない方には教習車をお貸しして、車をお持ちの方には基本的にマイカーで練習をします。