接客業のポジティブな魅力を伝えたかった
── 今回のツイートには13万いいねがつきました。これほど共感を感じてもらえた理由はなんだと思われますか?
おたみさん:
実はこのツイートは、Twitterで流れてきたハッシュタグ「#接客業であったすごい客」に反応して投稿したんです。
私は漫画家ですが、もともと接客業が大好きで。最近はあまりできていないのですが、漫画家のかたわら、お好み焼き屋さんやファミレスでホールの仕事をしていました。
だからハッシュタグ「#接客業であったすごい客」が流れてきたのを見て、さぞポジティブな話題ばかりだろうとクリックしてみたら、「こんなひどいことがあった」というネガティブな内容が多くて正直がっかりしまして。
「いや、接客業はこっち(ポジティブな方)でしょう」と、このエピソードを30分くらいで描き上げてTwitterに投稿しました。いいお客さんもたくさんいらっしゃいますし、「いいことのほうが心に残る」という接客業の楽しい面を伝えたかったんですよね。
── その結果、「心が癒される」「たった5コマで感動できる映画を1本観たくらいの気持ち」などたくさんの感動コメントが寄せられました。
おたみさん:
すごく嬉しかったです。シェアして、僕と同じようにみなさんにも温かい気持ちになってもらいたいなと思っていたので。いまコロナ禍だったり、ネガティブなニュースが日々入ってくる状況だからこそ、こういう心揺さぶるエピソードが好まれているのかもしれませんね。
── 厳しい世の中でも、こういう純粋な心、忘れちゃいけない大切なものがあることを思い出させてくれる漫画でした。また、おたみさんの描くほっこりエピソードを読みたいです!
おたみさん:
ありがとうございます。でも、僕は本業がギャグ漫画家なので、やっぱり「尖ったものを描きたい」というプライドがありますから(笑)!
ご存知かと思いますが、「バズったら自分の好きな宣伝をしてもいい」というTwitterのルールがあります。なので、今回のツイートのツリーの下に、お惣菜屋さんでアルバイトをしていた当時、「キャバクラを教えてくれる先輩」に出会った漫画を描いていることを紹介したんです。
そしたら、コメントで「台無し」って書かれちゃって(爆笑)。でしょうね〜、「ごめんね」って思いましたよ、僕も!なんか申し訳なかったです!!!
PROFILE おたみさん
漫画家。『週刊少年サンデー』でギャグ漫画を連載しているほか、キャバクラを教えてくれる先輩を描いた『キャバクラ先輩』をTwitter(@otamiotanomi)にて配信中。編集者とのやり取りを公開した電子書籍『おたみのお頼み』(小学館)も発売中。
取材・文/松永加奈 写真提供/おたみ