魅力的な年配女性3人の日常を描いた漫画「マダム」シリーズがSNSで人気のイラストレーター・漫画家のseko kosekoさん(@sekokoseko)。9月に出版された『マダムたちのルームシェア』(KADOKAWA)は、発売早々に重版になるほどです。そんなsekoさんですが、一時は「絵を仕事にするのは難しい」と諦めた時期もありました。

他人のネガティブな言葉に自信喪失

子どもの頃から絵が好きで、小学生から漫画家になるのを夢見ていたというsekoさん。就職活動でイラストレーターを目指しましたが思うような結果が出ず、夢をあきらめたといいます。その原因となったのは、好きだからこそ耳に残ったネガティブな言葉でした。

 

梅酒作りをする女性。マダムだけでなく、何気ない日常のシーンを描いた作品も

「昔から絵を描くことが好きだったので、だからこそ、絵に関する言葉は心に残りやすかったんです。特にネガティブな言葉は、印象が強く残りやすいので、『絵で仕事をするのは難しい』『絵で食べていける人はほんの少し』といった言葉をよく耳にして、自然と『自分には無理だ』と思うようになっていきました。

 

自分では、自分の絵が好きですが、魅力的な絵を描く方はたくさんいますし、デッサンがすごく上手いとか、絵柄に特徴があるとか、そういったこともなかったので…」

 

Episode11「美術館を楽しむマダムたち」より
Episode11「美術館を楽しむマダムたち」より

年齢や周りの目を気にしたりせず、ポジティブに、やりたいことや好きなものを優先するマダムたちを描いているsekoさんですが、当時は好きなこととは別の道に進みます。

 

「WEBデザインの仕事をしていましたが、『デザインは向いていないな』と感じることが多くて、辞めてしまいました。そのあと薬局の受付で働きましたが、一緒に働く同僚が面白い人で、とても楽しかったです。

 

患者さんがいない隙に、受付で踊り始めたり、こっそり変なことを言ったり。本当はそんなことやったらダメなんですけど(笑)、仕事中という息の詰まりやすい時間を楽しくしてくれました。彼女との会話や楽しかったことは、今の漫画づくりに生かされていると思います」