「道化師様魚鱗癬」(どうけしようぎょりんせん)という、皮膚の難病を患って生をうけた濵口賀久(がく)くん(5)。残酷にも聞こえるその名の通り、ピエロのような容貌で魚のウロコのような肌という困難を抱える男の子が来年、小学生になります。ここまで元気ハツラツに育ててきたお母さんの、前向きな育児について聞きました。
38度以上の熱がありましたが
「熱は38度以上出てしまいましたが、何とかすべての種目に出場し、終わってからも元気にしています」
賀久くんが通う幼稚園での運動会についてそう話すのは母・結衣さん(35)。夫の陽平さん(36)とともに、三重県松阪市で3人暮らしです。
10月にしては暑い日だったこの日、賀久くんは他の園児と一緒にかけっこや踊り、親子対抗リレーなどに参加しました。
「年少、年中のときは先生に手伝ってもらい参加していましたが、今年はひとりで何とかできていたので、成長を感じることができました。
かけっこではブッチギリの最下位でしたが、本人はすごく楽しめていたので、私たちのなかでは断トツの1位です!」
運動会へ参加することに疑問をもつ人もいると思いますが、賀久くんの発熱は感染症ではなく「道化師様魚鱗癬」によるものなのです。
30万人に1人程度に発症すると言われる先天的疾患で、全身の皮膚が乾燥して魚のウロコのようになり、はがれ落ちて、他の疾患を伴うことがあります。
「24時間のかゆみで、皮膚が次々と剥がれ極端な乾燥肌になり、汗をかいて体温の調整をすることができなくなります。
すると熱が体内にこもり、少しの運動でも発熱するので、運動会でもアイシングをしながら参加しました」