日本で唯一「人間」みたいな?南方系コアラを飼育
── コアラの魅力はどんなところでしょうか。
後藤さん:
ほかの動物にはない独特の魅力がありますね。
おっとりしているように見えて、こだわりが強くて気難しい一面もあります。ユーカリしか食べないですし。
ユーカリは600種類くらいあるのですが、そのうちコアラが食べるのは約30種類。うちでは日本で育てやすい10種類ほどを選んで与えていますが、コアラそれぞれに好き嫌いもありますし、季節や体調によって食べたい種類がころころ変わるんです。「きのうはあんなに食べていたのに…」ということもしょっちゅうで。
コアラは1日のうち18〜20時間は寝ています。ナマケモノより寝ているかもしれません(笑)。でも、起きているときは木から木へ飛び移ったり、時速30キロくらいの速さで走ることもあるんです。飼育スタッフもめったに見ることはないのですが。
縄張り意識が強くて、コアラ同士すぐにケンカをするというのも意外な一面かもしれませんね。
──「淡路ファームパーク イングランドの丘」には2系統のコアラがいるそうですね。
後藤さん:
南方系コアラが4頭、北方系コアラが2頭います。
みどりとだいちは南方系です。南方系は体がひと回り大きくて毛が長く、黒っぽい色をしています。みなさんがよく知っている北方系コアラよりもワイルドで、しぐさが「人間っぽい」とよく言われます。
国内で南方系を飼育しているのはうちだけなので、北方系と見比べてもらって、珍しい南方系の魅力を知っていただけたら嬉しいですね。
北方系コアラは、2か所の動物園から「共同繁殖」のために預かっています。共同繁殖というのは、国内でコアラを飼育している7つの動物園で協力してコアラを増やしていこうという取り組みです。
残念ながら、南方系コアラは9歳のだいちに続く赤ちゃんは産まれていませんが、北方系コアラの赤ちゃんの誕生を僕たちも楽しみにしています。