物価の上昇が気になる今日この頃、嬉しい存在といえば“鶏むね肉”です。リーズナブルな価格にもかかわらず、ボリュームがあり、タンパク質もしっかりと摂ることができる、主婦の心強い味方。そんな鶏むね肉を柔らかくする方法がSNSで話題になっています。発案者のつくりおき食堂まりえさん(@mariegohan)にお話を伺いました。

 

見た目にも柔らかそうな料理「鶏むね肉やわらかチキン 南蛮タルタルソースのせ」
見た目にも柔らかそうな「鶏むね肉やわらかチキン 南蛮タルタルソースのせ」

繊維を断つことでパサつきを防止!

「鶏肉って、ただ焼くだけだとパサついてしまうので、それをどうにかしたいと思っている人が多い。簡単に柔らかくできる方法はないかと考えました」とまりえさん。

 

そこで編み出したのが、「鶏むね肉の繊維を断つように切り、ブライン液につける」という方法です。

 

「鶏むね肉がパサつく原因は、鶏肉の繊維と水分の流出にあります。焼くと繊維が縮むため、食べたときに固く感じる。だから、焼く前に繊維を断っておけば、柔らかいまま仕上げることができます」

 

繊維とは、鶏むね肉に入っている白い筋のこと。その繊維に沿って包丁を斜めにねかせ、薄い削ぎ切りにすれば、繊維を切ることができます。

 

ただし、注意すべき点が。鶏むね肉といっても、右の胸肉と左の胸肉の2種類があります。左右で繊維の入り方が違うので、その点は要注意しましょう。

ブライン液につけるとプルップルに!

繊維を断ったら、10分ほどブライン液につけます。

 

ブライン液とは塩や砂糖を水に溶かした調味液で、プロの料理人が下ごしらえによく使うもの。塩と砂糖のふたつの効果により、弾力のある柔らかい食感に仕上がるそうです。

 

「塩には、肉の繊維を破壊して柔らかくする効果があります。また、壊れた細胞壁から吸水されやすくなります。砂糖には、水分子を結合し、水を離さない保水性があります」

 

まりえさんが作るブライン液は、水の量に対して調味料5%ずつが基本。

 

「調味料の分量を、砂糖小さじ2(約6g)、塩小さじ1(約6g)と先に決めてしまう。すると水120mlが必要に。小さじの杯数を決めておくと、はかりを使う手間が省けます」

 

このブライン液にそぎ切りにした300〜330gの鶏むね肉をつけて、冷蔵室に約20分おきます。

 

調理する際は、鶏むね肉全体に片栗粉をまぶすのもおすすめ。片栗粉でコーティングすることで、水分の流出を防ぐことができます。このひと手間で、ただ焼くだけでもとても柔らかい鶏むね肉を味わうことができます。

まるでエビ!?のような「鶏のチリソース」

まりえさんによると、ブライン液につけて柔らかくなった鶏むね肉で作るレシピは、SNSで紹介するとどれも反響が大きいそう。なかでも人気が高かったのが、「エビチリ」ならぬ「鶏のチリソース」。ツイッターで投稿したところ、1万いいねがついた人気のレシピです。

 

「鶏のチリソース」鶏肉がまるでエビのような食感に!
「鶏のチリソース」鶏肉がまるでエビのような食感に!

材料は柔らかくした鶏むね肉1枚(300〜330g)、サラダ油大さじ1、みじん切りにした長ねぎ1/2本、調味料(ケチャップ大さじ3、酒大さじ2、砂糖小さじ2、顆粒鶏ガラスープの素小さじ1、ラー油小さじ1/2、チューブのおろしにんにく5cm分)です。

 

そぎ切りにしてブライン液に浸け柔らかくなった鶏むね肉を、サラダ油を敷いたフライパンに入れ、表裏を中火で3分ずつ焼きます。火が通ったら、合わせておいた調味料と長ねぎを入れて、鶏むね肉と絡めて完成です。仕上げに長ねぎの青い部分を切ってのせると見栄えが良くなります。

 

「鶏むね肉がぷるぷるで、まるでエビのような食感になります。柔らかくする工程で片栗粉をまぶしているので、とろっとした食感もたまりません!」

 

パサつきがちな鶏むね肉を柔らかくする方法を利用すれば、鶏むね肉を使った料理のレパートリーがますます増えそうですね。

 

PROFILE つくりおき食堂まりえさん

SNSで簡単、時短レシピ中心に提案する、時短料理研究家。家にある調味料だけで手軽に作れるレシピが多く、支持されている。

取材・文/酒井明子 写真提供/つくりおき食堂まりえ 参照元/まりえさんのHP(「鶏のチリソースの節約レシピ」)